ホールリウカ (小型揚陸艦) ホールリウカ (小型揚陸艦)の概要

ホールリウカ (小型揚陸艦)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/01/02 08:22 UTC 版)

MDK-93
U423 ホールリウカ
L182 ケルキラ
艦歴
MDK-93
МДК-93
起工 1991年 モーレ・フェオドーシヤ造船所
進水 1991年
竣工 1991年
所属 ソ連海軍黒海艦隊
除籍 1996年1月10日
U423 ホールリウカ
U423 Горлiвка
転属 1996年1月10日
所属 ウクライナ海軍
除籍 2000年
L182 ケルキラ
L182 Κέρκυρα
転属 2001年
所属 ギリシャ海軍
除籍 -
要目
艦種 エアクッション小型揚陸艦
艦型 12322号計画「ズーブル」型
工場番号 303
排水量 基準排水量 415 t
満載排水量 550 t
全長 57.3 m
全幅 25.6 m
喫水 2.0 m
機関 移動用ガスタービン3 基 36000 馬力
浮揚用ガスタービン2 基 23672 馬力
推進用4枚羽プロペラ 3 基
電源 ガスタービン発電機4 基 100 kWt
燃料 56 t
速力 最大速度 63 kn
航続距離 300 /55 kn
乗員 士官 4 名
水兵 27 名
武装 9K310-1「ホールカ1M」艦対空ミサイル発射機 4 基(9M313ミサイル32 発)
30 mm6砲身機関砲AK-630M 2 基
140 mm 22連装ロケット弾斉射システムRS-30「ヴォゴーニ」 2 基(ロケット弾132発)
各種係維機雷 20 - 80 個
電子装備 各種レーダー射撃管制装置
積載物搭載量 兵士 230 名まで
T-80戦車 3 輌(130 t)
BTR 10 輌
BMP 10 輌

概要

建造

ホールリウカは、12322号計画「ズーブル」型エアクッション小型揚陸艦の1艦として建造された。開発はソ連時代に開始され、ウクライナ・ソヴィエト社会主義共和国クリミア自治共和国の都市フェオドーシヤにあったモーレ・フェオドーシヤ造船所の第303工場で建造された。当初の艦名はMDK-93(МДК-93エームデーカー・ヂヴィノースタ・トリー)であった。フェオドーシヤでは12322型6 隻の建造が計画されており、 MDK-93は1991年、その3 隻目として竣工した。MDK-93は、ソ連海軍黒海艦隊に編入された。

その年の8月24日にはウクライナが独立したが、MDK-93は完成していた姉妹艦とともにロシア海軍へ管轄の移った黒海艦隊に留まった。その後、ロシア政府とウクライナ政府間に結ばれた協定に基づき、1996年1月10日には正式にウクライナ海軍に編入され、U423 ホールリウカと改称された。

ギリシャへの売却

しかし、海軍計画の変更から2000年にはウクライナ海軍を除籍され、ギリシャへ売却された。これに伴い、2000年2月中旬から2001年にかけて近代化改修と修繕作業がモーレ・フェオドーシヤ造船所で実施された。2001年1月12日には進水し、試験ののち3月22日には自力航行型積載輸送プラットフォームTP-400によりアテネまで移送された。これは、艦艇を包み込む形で海上輸送できる浮きドックで、セヴァストーポリのS・オルジョニキーゼ記念・セヴァストーポリ海事工場の所有する機材であった。

正式にギリシャ海軍に編入されたホールリウカは、新たに高速輸送艦ケルキラ(Κέρκυραケルキラ)と命名された。ケルキラは、80年前にウクライナで建造された駆逐艦につけられたことのある名称コルフギリシャ語名で、イオニア諸島最北の島に因んだものであった。艦番号は、当初はL142、2001年以降はL182に変更された。ギリシャにとっては最初の旧ソ連艦となるこの型の艦艇に習熟するため、ウクライナ海軍のP・S・ナヒーモウ記念セヴァストーポリ海軍大学の将校がギリシャ海軍の将校の教育を行った。

しかし、艦の状態が満足なものとはならなかったため、ケルキラはギリシャでは実戦配備にはつけられなかった。かわりに、同型艦のイヴァン・ボフーンがL181 イタキとして配備に就いた。ケルキラの艦名は、ロシアサンクトペテルブルクで建造された別の同型艦に譲られた。

L182 ケルキラのその後については明らかではない。同名の別の艦が就役していることから、このケルキラは放置されたか、解体あるいは予備部品取りに供せられているか、ウクライナへ戻ったかのいずれかと考えられている。但し、購入後に就役が断念されるほど状態の悪かったケルキラがウクライナまで帰り着くことができたのかについては疑わしい。

性能

動力機関は10000 馬力級のガスタービンエンジンMT-70が5 基搭載され、水上最大63 knの高速力を獲得していた。その内2 基は浮揚用で、3 機が機動に用いられた。

艦は小型ながらも、ウクライナ陸軍の主となっているT-80UDクラスの戦車を3 輌輸送できた。この他、PT-76水陸両用軽戦車ならば6 輌、BTR-70/80水陸両用装甲兵員輸送車ならば8 輌輸送できた。

ホールリウカは小型艦であったが、最低限の電子装備は搭載されていた。レーダーは「ポズィティーウ」と「ブラクィーチ」が搭載された。通信装置は「ブラーン」が搭載された。

また、ホールリウカには、揚陸作戦時における敵の干渉を排除するため、攻撃的な自衛システムが装備されていた。まず、個艦防空用の艦対空ミサイルシステムとしては、携行式防空ミサイル9K310-1「ホールカ1M」が搭載された。これは、4 基の発射装置に対し、赤外線誘導式ミサイル弾体32 発が用意されていた。これに加え、艦には30 mm多砲身機関砲2 基が搭載された。これは、MR-123-02「ヴィーンペル」管制レーダーによって統御される近接防禦火器システムであった。一方、陸上・海上への火力制圧のためには、強力なロケット弾斉射システムRS-30「ヴォゴーニ」が搭載された。これは140 mm無誘導式ロケット弾の発射システムで、艦には22管からなる発射装置(ロケットランチャー)MS-227を2 基備えていた。弾体は、OF-45またはZZh-45の132 発とされる。このシステムは、射撃管制装置DVU-3によって統御された。

関連項目

  • L184 ケルキラ
  • 駆逐艦コルフ



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