フレッド・ホイル 化学進化説の否定

フレッド・ホイル

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/11/15 13:00 UTC 版)

化学進化説の否定

ホイルは晩年、生命の起源を自然主義的に説明する化学進化の理論を頑強に批判した。チャンドラ・ヴィクラマ・シンと共にホイルは、生命は宇宙で進化し、胚種 (panspermia) によって宇宙全体に広がったというパンスペルミア仮説(胚種広布説)を唱えた。また地球上での生命の進化は彗星によってウイルスが絶えず流入することによって起こると主張した。

1981年4月に出版された Evolution from Space(チャンドラ・ヴィクラマ・シンとの共著)という本の中でホイルは、最も単純な単細胞生物に必要な酵素が全て作られる確率は 1040,000 分の1であると計算した。我々の宇宙に存在する原子の個数はこれに比べると極々小さい(約 1080)ため、生命が誕生したとされる原始スープが宇宙全体を満たしていたとしてもそのような物質が作られる機会はないとホイルは論じた。ホイルは以下のように述べている。

生体高分子だけでなく、生物細胞の制御プログラムまでもがこの地球上の原始的有機物スープの中で偶然にもたらされたという考えは明らかに高次元のナンセンスである。

ホイルは、最も単純な単細胞生物がランダムな過程で発生する確率は「がらくた置き場の上を竜巻が通過し、その中の物質からボーイング747が組み立てられる」のと同じくらいだという悪名高い比較を述べている。ホイルはまた、単機能のたんぱく質が、アミノ酸が偶然組み合わさって生成される見込みは、太陽系全体に埋め尽くされた盲目の人間が同時にルービックキューブを解くくらいあり得ないとも述べている[5]


  1. ^ デニス・オーヴァバイ『宇宙はこうして始まりこう終わりを告げる(英語タイトル:Lonely Hearts of the Cosmos)』(第一版)白揚社、2000年。ISBN 4826900961 
  2. ^ p.68
  3. ^ 科学の終焉 ジョン・ホーガン著 徳間書店
  4. ^ [訃報] フレッド・ホイル卿死去 定常宇宙論の提唱者
  5. ^ Richard Dawkins, The Blind Watchmaker: Why the Evidence of Evolution Reveals a Universe Without Design, W. W. Norton, 1996 (リチャード・ドーキンス (著)、日高敏隆(翻訳) 『盲目の時計職人』 早川書房 2004年)
  6. ^ "Hoyle; Sir; Fred (1915 - 2001)". Record (英語). The Royal Society. 2011年12月11日閲覧


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