トガサワラ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2018/12/05 08:56 UTC 版)
ナビゲーションに移動 検索に移動トガサワラ | |||||||||||||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
トガサワラ
| |||||||||||||||||||||
保全状況評価[1] | |||||||||||||||||||||
ENDANGERED (IUCN Red List Ver.3.1 (2001)) | |||||||||||||||||||||
分類(新エングラー体系) | |||||||||||||||||||||
| |||||||||||||||||||||
学名 | |||||||||||||||||||||
Pseudotsuga japonica (Shiras.) Beissner[1][2] | |||||||||||||||||||||
和名 | |||||||||||||||||||||
トガサワラ、サワラトガ[2] |
概要
山林に生える樹木で、高さ30mもの大木になることもある。モミ、ツガに似ており、混成することもある。それぞれ特徴ははっきりしているが、枝葉だけで見分けるのにはコツがいる。
日本固有種で、本州、四国の南部のごく一部にのみ知られる。トガサワラ属は現生で4種がある[3]が、過去にはもっと繁栄していたと考えられ、生きている化石にあたるとも考えられる。
名前の由来はトガ(ツガの別名)に似るが、材がサワラにやや似るためこの名が付いたとの説もあるが、はっきりしない。なお、地方名としてはこの他にカワキトガなどとも呼ばれた。これは乾燥したところに生えるツガの意と見られる。
特徴
常緑性の高木。大木になり、樹高は30m、胸高直径は1mに達する。樹皮は灰褐色で、縦にやや細長い鱗片状にはがれやすい。若枝は黄褐色で無毛。葉は螺旋状につくが、両側に開いて2列になったようになる。新芽は褐色の鱗片に包まれて楕円形。
葉は線形で長さ15-27mm、先端に向かって枝先方向にやや曲がることが多い。先端中央は窪んでいて、先が小さく2つに分かれたように見える。その2つの突出部は丸く、尖っていないのがモミなどとは異なり、ツガなどに似ている。表面は緑色でつやがあり、中肋に沿って窪む。裏面は中肋の両側が粉白色の帯になっているが、これは気孔帯である。
雌雄同株で花は4月につく。雄花は楕円形で長さ7-9mm、前年枝の先端に集まる。雌花も前年枝の先について、はじめ上を向くが次第に下に向き、成熟時には斜めにつく。毬果は秋に熟し、卵形で長さ3.5-6cm。ツガのそれより倍くらい大きい。鱗片は先端が丸いが、その内側から苞鱗片が伸び、種子鱗片の縁から顔を出し、そこで3裂して尖るので、まるで鱗片の縁に飾りがあるように見える。この鱗片が顔を出すのは、この属の特徴だが、トガサワラではその先端が反り返って上を向く。鱗片は開いて種子を放出する。種子には翼がある。
生育環境
山間部の森林に成育する。暖帯域から温帯域の下部にわたる範囲で知られる。この部分では照葉樹林、あるいは落葉樹林にモミ、ツガなどの針葉樹を交えることが多く、それに混じって成育する。特に乾燥気味のやせ尾根に成育することが多い。和歌山県では低いところで標高300m程の生育地も知られる。
- ^ a b c d e Katsuki, T., Luscombe, D & Farjon, A. 2013. Pseudotsuga japonica. The IUCN Red List of Threatened Species 2013: e.T31291A2803646. doi:10.2305/IUCN.UK.2013-1.RLTS.T31291A2803646.en, Downloaded on 17 December 2016.
- ^ a b 米倉浩司・梶田忠 (2003-) 「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList) - トガサワラ(2011年9月21日閲覧)
- ^ a b 清水建美 (1997) トガサワラ 『朝日百科 植物の世界 第11巻』 246 - 247, 朝日新聞社.
- ^ 月刊朝日新聞世界の植物、通巻106巻、p.2058
- ^ 哺乳類、汽水・淡水魚類、昆虫類、貝類、植物I及び植物IIのレッドリストの見直しについて
- ^ 和歌山県レッドデータブック (2000)、p.323
固有名詞の分類
- トガサワラのページへのリンク