デザートワイン
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/02/20 17:21 UTC 版)
アイスワイン
氷結したブドウから造られるワイン。主な国や地域圏のワイン法では、アイスワイン用のブドウを収穫する際の気温は -7℃ を下回るべき旨を定めている。この温度ではブドウ果実に含まれる水分は凍結するが、氷晶の成長と共に糖やその他の溶質が未凍結の部分に追い込まれ、成分が濃縮される。こうして凍結したブドウから搾汁すると濃縮された果汁が得られ、高糖度の環境に適応した特殊な酵母による長時間の発酵を経てアイスワインができる。アイスワインは非常に甘いながらも酸味との均整に秀でる。アイスワインは製造に向けられるブドウの収穫量が非常に少なく、また製造量や可否が気候条件に依る部分が大きく、従って一般に高価である。アイスワインの製造には氷点下の環境でも結実した房が落ちない物理的に頑健な品種が向いており、その最たるものがリースリングである。
最も有名なアイスワインはドイツの "Eiswein" やカナダで造られるものである。しかしこれら以外の国でも、アメリカ、オーストリア、クロアチア、チェコ、スロバキア、スロベニア、ハンガリー、オーストラリア、フランス、ニュージーランドなど、気候条件の適合する各国で少量ながら生産されている。
アイスワインの生産プロセスを人為的に再現したものがクリオ・エクストラクションである[2]。収穫した果実を冷凍庫で凍結させ、同様のプロセスを経て醸造する。甲州のように、繊細ではあるが濃縮感に欠ける品種において効果を発揮する。
少数ではあるが国産でもアイスワインを称する商品が流通している。しかしながら気候的にも天然でアイスワインの条件を満たしつつ、同時に樹木自体に冷害が及ばないという条件を満たすことは困難を極め、人工的に果実を氷結されて醸造するクリオ・エクストラクションが基本となる。
極めて一部ではあるが、北海道などでも栽培可能なケルナーを用い、温度管理などの多数の工程を踏むことによって天然のアイスワインを製造した例も存在する[3]。しかしながら、果実を凍結させるまでの手順自体で多数の人の手が介入していることも事実であり、真の意味での国産天然アイスワインは存在しておらず気候の観点から見ても天然環境下での製造は不可能に近い。
- ^ Süssreserve on Wine Dictionary
- ^ マンズワイン:ワイン小辞典
- ^ ワインストーリー
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