ティーガー (航空機) 概要

ティーガー (航空機)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/10/31 07:43 UTC 版)

概要

開発

1970年代フランス陸軍西ドイツ陸軍(当時)は、現有の軽攻撃ヘリコプターフランスSA341/SA342ガゼル西ドイツPAH-1)の後継機となる本格的な攻撃ヘリコプターの研究を行っていた。両国での要求性能や機体規模、配備時期などが非常に似通っていたこともあり、1984年に共同開発の基本合意に達し、同年5月29日に両国政府が共同開発を承認した。

機体の開発・製造については、フランスのアエロスパシアル社(現EADS社)と西ドイツのMBB社が50:50で共同出資会社を設立することとなり、フランス・パリにユーロコプターGIE社を設立。1985年1月18日には西ドイツ・ミュンヘンに子会社のユーロコプターGmbH社を設立した。この段階で両国は、3タイプの配備を決定しており、フランス陸軍は航空支援型のHAPと対戦車攻撃型のHAC3G、西ドイツ陸軍はPAH-2とされ、HAPは75機を生産して1993年から、HAC3Gは140機を生産して1996年からの引渡し予定で、PAH-2は212機生産して1995年からの引渡しを予定していたが、後に両国で運用要求の見直しが行われ、1987年11月13日に新しい機体案が承認された。この機体案がティーガーとなるもので、1989年11月30日に開発契約を交付した。

ティーガーの発注は、1998年5月20日に初期発注分として独仏で各80機を購入することが決定している。また、製造元のユーロコプター社はタイガーの名称での各機種の輸出販売が可能であるとして、オーストラリアスペインで採用されている。

機体

背面ループを行うティーガー

ティーガーは、採用国によって仕様の違いはあるものの、基本的には同一の機体構造となっている。

機体には複合材料が多用され、胴体は約80%がカーボン複合材料によるブロックまたはサンドイッチかケブラー・サンドイッチ構造で、その他の材料ではアルミニウムが約11%、チタニウムが約6%使用されている。メインローター、テールローターも同様で、ブレード本体は複合材料製。メインローターはMBB社が開発した高効率ブレードを採用し、テールローターは重量、性能、整備性、費用の関係から3枚ブレードを採用している。無関節型ローターを採用しているため、ループなどの曲技飛行が可能な機動力を有している。

操縦席攻撃ヘリコプターでは主流となった縦列複座式を採っているが、前席に操縦士、後席に射撃手という配置とされている。操縦席全体は高度に密閉され、外気温に合わせた冷暖房を備えている。また、乗員がNBCスーツ(NBC兵器に対する化学防護服)を着用して搭乗でき、NBCスーツの換気は操縦席内の空気と空調装置の空気とを混合して行う。前後席には各2基のカラー多機能表示装置と各1基のキーボード付き表示装置があり、乗員はヘルメット装着式照準・表示装置(HMSD)を装備する。これにより、乗員の操縦負荷は大幅に減少している。

ティーガーの兵装電子システムは、任務器材パッケージ(MEP)と呼ばれ、HACとUHTのものはユーロMEP、HAPのものはHAPMEPとそれぞれ呼ばれる。ユーロMEPは対戦車兵装サブシステム、操縦士用画像サブシステム、空対空サブシステムなどで構成され、昼夜間、悪天候を問わず匍匐飛行が行える。一方のHAPMEPは、システム管理などの兵装コンピュータ・シンボル・ジェネレーターを中核として、機体に搭載されている複合センサーと組み合わされて乗員のHMSDに表示される。

双発で装備するMTR390ターボシャフトエンジンは、MTR社、ロールス・ロイス社、チュルボメカ社の共同開発で、離陸最大出力は958kW、連続最大出力は873kWだが、片発停止時などの緊急時には3段階の緊急出力を出すことが可能である。スーパー・エマージェンシーでは20秒制限で1,160kW、30秒制限で1,138kW、継続段階の2.5分制限で1,027kW、中間段階の30分制限で958kWとなっている。


注釈

  1. ^ ティーガーはドイツ語の呼称であり、英語ではタイガーと読む。フランス語及びスペイン語ではTigreと綴って、フランス語ではティーグル、スペイン語ではティグレと読む。

出典






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