チェーンソー 歴史

チェーンソー

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/24 04:50 UTC 版)

歴史

医療用に開発されたオステオトーム英語版

その起源に関しては諸説あるが、最初のチェンソーはおそらく1830年頃にドイツ整形外科学者ベルナルト・ハイネ(Bernard Heine)によって作られた。開発されたオステオトーム英語版(osteotome)は傾いた小さな刃のついたチェーンの環を持ち、骨の切断に用いられた。チェーンは、鎖歯車のクランクを回すことによって、ガイド部の周囲を移動する仕組みだった。

現代のチェンソーの成立に大きく寄与したのは、ジョゼフ・ビューフォード・コックス英語版アンドレアス・シュティール英語版の二人である。後者は1926年にチェンソーの特許を取り、1929年にはガソリンエンジンで動くチェンソーを大量生産する企業を設立した。世界初のガソリン動力チェンソーを開発したのはドルマー英語版社の創立者エミール・ラープ(Emil Lerp)であり(1927年)、彼も大量生産を行なった。ドイツ・FESTOOL英語版(フェスツール)社は1929年に世界最初のポータブル・チェンソーの発売を開始した[7]。北アメリカのマッカラー(McCulloch)工業機器社もチェンソーの製造を開始した。初期のモデルは重く、長く、二人で扱うように作られた道具であった。あまりに重いため、それらはドラッグソー英語版のように車輪を備えていることもあった。車輪つきの発電機から電線で動力を供給されるものもあった。

第二次世界大戦中にはアメリカ陸軍が前線でチェンソーを使用した。両端を2人で抱える大型のものであった。終戦後、日本を含めて各国でコピーが進んで国産化への動きが活発になり、世界的に普及するきっかけとなった。1960年代になるとアルミニウム冶金技術とエンジン設計の進歩が、チェンソーを一人で運べるほど軽くした。1970年代には前述の防振対策が進み、さらに一般に浸透する下地が造られている。2000年代に登場した最軽量のモデルは2.2kgしかなく、枝打ちなどに用いる手斧ノコギリの代替品としても用いられるようになった。しかし、スキッダーとチェンソー作業者の大部分が起重機に取って代わられた地域もある。

日本では建築用材やパルプなどの木材需要が増加した戦後昭和30年代から普及し、集材機とともに林業の作業現場では欠かすことのできない機械となった。ただしこの時代のものはほとんどがアメリカなどからの輸入品(ポーラン・マッカラーなど)で重量もかさみ、日本人の体格にとっては扱いづらいものであった。チェンソーは、林業の分野においてはほとんど完全に、普通の手動鋸に取って代わった。サイズも多様化し、小は電動のものから大は「木こり用」鋸まで幅広い。軍事工学会ではチェンソーを使う訓練を行なっている。

赤沢自然休養林(長野県木曽郡上松町)の施設内には、『チェンソー導入の地』の記念碑と看板がある。


  1. ^ チェンソーの構造はどうなってる? 刃や各部の名前について解説(2022年 7月 22日閲覧)
  2. ^ 何らかの理由でカッターが木を切れなくなったとき、行き場を失った駆動力がチェンソーを使用者の顔に向かって跳ね飛ばす現象である。特にガイドバー先端の上側が物体に接触した時に発生しやすい。
  3. ^ 『チエンソー取扱い業務に係る健康管理の推進について』の別添2で規定されている。(昭和50年10月20日基発第610号)
  4. ^ 安全衛生情報センター・チェーンソー取扱い作業指針について・および別紙
  5. ^ “長良川上るサツキマス表現”. (2020年7月22日) 
  6. ^ カットオフソー(STIHL製品カタログ)2018年2月7日閲覧
  7. ^ History of Festool
  8. ^ GREG OLIVER. “Cpl. Kirchner speaks: "I'm not dead!"”. SLAM! Sports. 2012年7月20日時点のオリジナルよりアーカイブ。2008年8月26日閲覧。
  9. ^ チェーンソーにV8エンジンを積んでみたhttps://www.nicovideo.jp/watch/sm11409932021年7月25日閲覧 





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