セヴリーヌ 『ラ・フロンド』・ドレフュス事件の再審取材

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セヴリーヌ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/23 14:45 UTC 版)

『ラ・フロンド』・ドレフュス事件の再審取材

1897年、マルグリット・デュランが創刊した『ラ・フロンド』に編集委員として参加した。編集委員、コラムニスト、寄稿者はもちろん、校正や印刷もすべて女性のみで行う本格的なフェミニスト新聞であり、女性初のソルボンヌ大学教授クレマンス・ロワイエ、女性初のパリ公認弁護士ジャンヌ・ショーヴァンフランス語版、女性初の公教育審議会委員ポーリーヌ・ケルゴマールフランス語版、女性作家として最初にレジオンドヌール勲章を受けたジャンヌ・ロワゾーフランス語版、女性で初めて重罪院フランス語版で弁護した弁護士マリア・ヴェローヌらも編集委員を務めたほか[5]ユベルティーヌ・オークレールマドレーヌ・ペルティエネリー・ルーセルら多くのフェミニストが寄稿した。

ルイス・ウェルデン・ホーキンスによるセヴリーヌの肖像

ドレフュス事件で1899年8月にレンヌで軍法会議の再審が行われたときには『ラ・フロンド』の記者として取材を行うために、『誤審 ― ドレフュス事件の真実 (Une erreur judiciaire. La vérité sur l'affaire Dreyfus)』(1896年) を著したベルナール・ラザールフランス語版、ドレフュスの無罪を主張する『証拠 (Les Preuves)』を著した社会党 (SFIO) の指導者ジャン・ジョレス、1896年にドレフュス無実を発見した参謀本部のマリー=ジョルジュ・ピカールフランス語版中佐、レンヌ大学哲学教授ヴィクトル・バッシュフランス語版らとともにレンヌに1か月間滞在して、裁判官、弁護士、検察、傍聴人、軍部、政府の要人、被告の家族などに取材し[5]、『ラ・フロンド』紙上で報告した。これらの記事は、1900年に『ドレフュス事件 ― 光に向かって・・・体験に基づく印象 (Affaire Dreyfus : Vers la lumière... impressions vécues)』として出版された。

セヴリーヌはジャーナリストとしての独立性・中立性を維持するために、当初は右派・左派を問わず様々な新聞の記者として活躍したが、反ユダヤ主義者(反ドレフュス派)のエドゥアール・ドリュモンフランス語版が創刊した『ラ・リーブル・パロールフランス語版』(1892-1924) に寄稿したことだけは後に後悔し、判断を誤ったと認めている[1]。ドリュモンは1886年に1200ページにも及ぶユダヤ人攻撃の書『ユダヤのフランスフランス語版』を発表し、反ユダヤ主義感情を醸成する土壌を作り上げた人物であり、ドレフュス事件の際に、大々的に反ドレフュスの論陣を張って世論をリードしたのが、彼が主宰する『ラ・リーブル・パロール』であった[9]


  1. ^ a b c d SÉVERINE (Caroline RÉMY) - Dictionnaire des anarchistes” (フランス語). maitron-en-ligne.univ-paris1.fr. Maitron. 2019年4月13日閲覧。
  2. ^ a b c Michel Winock (2016-08-29) (フランス語). Les voix de la liberté. Les écrivains engagés au XIXe siècle. Le Seuil 
  3. ^ Schlumberger, Béatrice (1927). “« La Rue à Londres » par Jules Vallès”. Revue d’Histoire Moderne & Contemporaine 2 (7): 36–47. doi:10.3406/rhmc.1927.3391. https://www.persee.fr/doc/rhmc_0996-2727_1927_num_2_7_3391. 
  4. ^ a b c d e f Évelyne Le Garrec (2009) (フランス語). Séverine (1855-1929), Vie et combats d'une frondeuse. l'Archipel 
  5. ^ a b c 間野嘉津子「世紀末文化とジェンダー ― 日刊紙〈ラ・フロンド〉と新聞記者セヴリーヌに関する一考察」『大阪経大論集』第55巻第1号、2004年5月。
  6. ^ Incendie de la deuxième Salle Favart” (フランス語). Opéra Comique (2014年11月18日). 2019年4月13日閲覧。
  7. ^ Il était une fois Séverine”. www.forez-info.com (2007年5月18日). 2019年4月13日閲覧。
  8. ^ Alain Rustenholz. “Séverine, Jules Vallès, et un mari ramenant sa femme gréviste chez Lebaudy le fouet à la main: ça vibre à la Villette!” (フランス語). 2019年4月13日閲覧。
  9. ^ 鈴木重周「19世紀末フランスにおける反ユダヤ主義の拡散とジャーナリズム:エドゥアール・ドリュモン『ユダヤのフランス』をめぐって」『ユダヤ・イスラエル研究』第28巻、日本ユダヤ学会、2014年、 12-23頁、 doi:10.20655/yudayaisuraerukenkyu.28.0_12ISSN 0916-2984NAID 130005568052
  10. ^ Christine Bard, Sylvie Chaperon (2017) (フランス語). Dictionnaire des féministes. France - XVIIIe-XXIe siècle. Presses Universitaires de France 
  11. ^ Manifestation en l'honneur de Condorcet, terrasse de l'Orangerie des Tuileries à Paris, le 5 juillet 1914 : (photographie) : une femme montée sur une échelle dépose des primevères sur le piédestal de la statue de Condorcet”. Bibliothèques spécialisées de la Ville de Paris. 2019年4月13日閲覧。
  12. ^ La marche du 5 juillet 1914 pour le droit de vote des femmes | Histoire et analyse d'images et oeuvres” (フランス語). www.histoire-image.org. 2019年4月13日閲覧。
  13. ^ “"Plutôt la mort que l'injustice. Au temps des procès anarchistes", de Thierry Lévy : ils croyaient dynamiter l'injustice” (フランス語). Le Monde. (2010年1月21日). https://www.lemonde.fr/livres/article/2010/01/21/plutot-la-mort-que-l-injustice-au-temps-des-proces-anarchistes-de-thierry-levy_1294707_3260.html 2019年4月13日閲覧。 
  14. ^ FÉNÉON Félix (Louis, Félix, Jules, Alexandre, Élie) - Dictionnaire des anarchistes”. maitron-en-ligne.univ-paris1.fr. Maitron. 2019年4月13日閲覧。
  15. ^ 尾崎和郎「世紀末fin de siecleの4人のテロリスト ― ラヴァショル, ヴァイヤン, E・アンリ, カゼリオ」『成城文藝』第147号、成城大学文芸学部、1994年7月、 59-81頁、 ISSN 02865718


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