シャルル・グノー 生涯

シャルル・グノー

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/01/31 02:42 UTC 版)

生涯

シャルル・グノーはパリで生まれた。母はピアニスト、父は画家・彫刻家であった[2][3]。1823年、5歳のときに父が没し、グノーは母親の手によって育てられた[2][3]。母親にピアノの手ほどきを受けて楽才を開花させ、またアントニーン・レイハから個人的に対位法を学んだ[2]。1836年にレイハが没した後、パリ音楽院に入学してオペラ作曲家フロマンタル・アレヴィに対位法とフーガを、アンリ・モンタン・ベルトンルシュールフェルディナンド・パエールに作曲を師事した[2][3]

1837年に初めてローマ大賞に応募し、2位を得た。1839年カンタータ『フェルディナン』(Ferdinand)でローマ大賞を受賞、1840年からローマへ留学した[2][3]。ローマではパレストリーナシスティーナ礼拝堂の古い宗教音楽に興味を持った[2]

ローマ賞の3年目はオーストリアドイツで過ごすことになっており、グノーはウィーンで自作のミサ曲を上演した[2][3]ライプツィヒではフェリクス・メンデルスゾーンの面識を得て(ローマでグノーはファニー・メンデルスゾーンと知り合っていた)、お互いを高く評価した[2][3]。後のグノーの作品である交響曲第1番や聖セシリア荘厳ミサ曲、歌劇『ミレイユ』などにメンデルスゾーンの影響が見られる[2]

1843年にパリに戻り、パリ外国宣教会の学校 (fr:Séminaire des Missions étrangères de Paris楽長に就任し、宗教音楽の演奏のために合唱隊を訓練した[2]。さらに音楽を離れて聖職に就くことを目指し、1847年からサン=シュルピス教会神学を学んだが、翌年の1848年のフランス革命によって学業を中断した[2][3]

音楽家に戻ったグノーは、インプレサリオポーリーヌ・ヴィアルドの支援によってオペラ作曲家の道に進んだ[2]1851年に最初のオペラ『サッフォー英語版』、1854年に『血に染まった修道女』を初演するが、いずれも成功しなかった[3]。このためグノーはいったんオペラ作曲から遠ざかって交響曲を2曲作曲、1855年には『聖セシリア荘厳ミサ曲』を完成し、これらの作品によってグノーの名声は高まった[2]

この時期またグノーは音楽教師ピエール・ジメルマンの娘のアンナと結婚し、パリの合唱団オルフェオン (fr:Orphéonの指揮者に就任した[2]ヨハン・ゼバスティアン・バッハの『平均律クラヴィーア曲集』第1巻第1曲の前奏曲に旋律をかぶせた『アヴェ・マリア』はあるいはジメルマンの影響によるものかもしれない[2]

1859年パリ・リリック座英語版で初演された『ファウスト』は初めて成功したグノーのオペラとなった[3]。この作品は今日でも最も有名なグノー作品である。この後の一時期はオペラ作家としてのグノーの絶頂期をなし、1860年代にはさらに5つのオペラを作曲している[2]。中でもシェイクスピア原作のオペラ『ロメオとジュリエット』(1867年初演)は現在も定期的に上演・録音がなされている。

1870年から1875年まで、グノーは普仏戦争の戦乱を避けてロンドンに移住し、のちの王立合唱協会(ロイヤル・コーラル・ソサエティ)の首席指揮者を務めた。この頃から、グノー作品の多くが実質的に声楽曲や合唱曲となった。

パリに戻った後、グノーはオペラの作曲を再開するが成功しなかった[2]。晩年にはふたたび主に宗教曲を手掛けている[3]。『レクイエム』ハ長調が最後の作品となった。

1893年、パリ郊外のサン=クルーで死去[2]。オートゥイユ墓地 (fr:Cimetière d'Auteuilに埋葬された。


  1. ^ 新編世界大音楽全集『フランス歌曲集Ⅰ』音楽之友社、208頁より引用
  2. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t Huebner, Steven (2001). “Gounod, Charles-François”. Grove Music Online. Oxford University Press. doi:10.1093/gmo/9781561592630.article.40694 
  3. ^ a b c d e f g h i j k 「グノー:聖セシリアの為の荘厳ミサ」『最新名曲解説全集』 声楽曲2、音楽之友社、1981年、415-417頁。 
  4. ^ 日本ではLIXILのトイレ・INAXのラジオコマーシャル(2016年・CBCラジオほか)で使われている。






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