シソ 薬用

シソ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/02 14:18 UTC 版)

薬用

漢方医学では、主に夏に採取して干して乾燥させた赤紫蘇の葉を蘇葉(そよう)または紫蘇葉(しそよう)と言い[6][5]、理気薬(気が停滞している状態を改善する薬物、精神を安定させる目的もある[7])として神秘湯、半夏厚朴湯香蘇散などに配合される。日本薬局方では、チリメンジソ(狭義のシソ、学名P. frutescens var. crispa f. crispa)の葉及び枝先を「蘇葉」としている。平安時代の『本草和名』には民間薬漬物に利用された記録がある[4]

また秋に採取した花穂から採取した熟した種子だけを集めたものを、紫蘇子(しそし)または蘇子(そし)と言い、茎は蘇梗(そこう)と言う[6][5][28]。いずれも赤紫蘇を用いる[6]。葉・種子・茎ともに、解熱、鎮痛、鎮静、喘息便秘、嘔吐、食欲不振などの治療に用いる[5]。紫蘇葉または紫蘇子5 - 15グラム程度を500 ccの水で半量まで煎じた液を、食間1日3回に分けて服用したり、神経痛や腰痛、冷え性には浴湯料として茎葉が用いられる[5][28]

赤ジソの葉はロスマリン酸、葉と実にはルテオリンを含み、アレルギー疾患の緩和に有用とされている[26]サバなどの魚によるじんましんや風邪のひき初めには、蘇葉の粉末さじ1杯または刻んだシソを、湯のみに熱湯を注いだ「しそ湯」を飲用すると良いと言われている[28][27]。胃腸を温める作用があり、しゃっくり止めに、梅干しに入っているシソ葉に湯を注いで飲んでもよいといわれている[6]


  1. ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Perilla frutescens (L.) Britton var. crispa (Benth.) W.Deane シソ(広義)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2023年8月27日閲覧。
  2. ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Perilla frutescens (L.) Britton var. acuta (Thunb.) Kudô シソ(シノニム)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2023年8月27日閲覧。
  3. ^ a b c d e f g h i j k 猪股慶子監修 成美堂出版編集部編 2012, p. 165.
  4. ^ a b c d e シソ”. いわき市. 2019年12月18日閲覧。
  5. ^ a b c d e f g h 馬場篤 1996, p. 61.
  6. ^ a b c d e 貝津好孝 1995, p. 38.
  7. ^ a b c d e f 小池すみこ 1998, p. 66.
  8. ^ a b 田中孝治 1995, p. 180.
  9. ^ a b c d e f g h i j k l 金子美登 2012, p. 114.
  10. ^ a b c d e f g h i j k l m n 講談社編 2013, p. 111.
  11. ^ a b c d e f 篠原準八 2008, p. 21.
  12. ^ a b 板木利隆 2020, p. 287.
  13. ^ 甘い!?香り強い葉 シソ所さんの目がテン!、2000年8月27日放送
  14. ^ 野菜畑の害虫と益虫”. 自然工房 ゆりの木. 2019年3月14日閲覧。
  15. ^ シソ 防除法”. 東京都産業労働局. 2019年3月14日閲覧。
  16. ^ BG Plants 和名−学名インデックス(YList)
  17. ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Perilla frutescens (L.) Britton var. crispa (Benth.) W.Deane f. crispa (Benth.) Makino”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2020年7月2日閲覧。
  18. ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Perilla frutescens (L.) Britton var. crispa (Thunb.) H.Deane f. rosea (G.Nicholson) Kudô”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2020年7月2日閲覧。
  19. ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Perilla frutescens (L.) Britton var. crispa (Benth.) W.Deane f. purpurea (Makino) Makino”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2020年7月2日閲覧。
  20. ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Perilla frutescens (L.) Britton var. crispa (Benth.) W.Deane f. viridis (Makino) Makino”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2020年7月2日閲覧。
  21. ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Perilla frutescens (L.) Britton var. crispa (Benth.) W.Deane 'Discolor'”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2020年7月2日閲覧。
  22. ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Perilla frutescens (L.) Britton var. crispa (Benth.) W.Deane 'Viridi-crispa'”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2020年7月2日閲覧。
  23. ^ a b c d e f g h 板木利隆 2020, p. 284.
  24. ^ a b c d e f 板木利隆 2020, p. 285.
  25. ^ a b c d e f g h 板木利隆 2020, p. 286.
  26. ^ a b c d e f g h 主婦の友社編 2011, p. 253.
  27. ^ a b c d 小池すみこ 1998, p. 67.
  28. ^ a b c d e f 田中孝治 1995, p. 181.
  29. ^ 笠原賀代子、西堀幸吉「日本栄養・食糧学会誌」『紫葉漬香気成分』第35巻第1号、日本栄養・食糧学会、1982年、73-76頁。 
  30. ^ a b 梅加工マニュアル”. 紀州梅の会(田辺市梅振興室内). p. 4. 2022年12月19日閲覧。
  31. ^ 農林水産消費安全技術センター (2004年5月)
  32. ^ ニュース|インスタントラーメン ナビ_一般社団法人 日本即席食品工業協会 (2008年10月)
  33. ^ 文部科学省日本食品標準成分表2015年版(七訂)
  34. ^ 厚生労働省日本人の食事摂取基準(2015年版)
  35. ^ 栗田啓幸、小池茂、「紫蘇と食塩の食品防腐作用における相乗効果について」 『日本農芸化学会誌』 Vol.55 (1981) No.1 P43-46, doi:10.1271/nogeikagaku1924.55.43
  36. ^ 宮川豊美、川村一男、食中毒菌に対する香味野菜の発育阻止作用 The journal of Wayo Women's University 29, 13-19, 1989-03-31, ISSN 0916-0035
  37. ^ 粕谷志郎、後藤千寿、大友弘士、「アニサキス症の予防法の試み-殺虫効果のある食品のスクリーニング」 『感染症学雑誌』 1988年 62巻 12号 p.1152-1156, doi:10.11150/kansenshogakuzasshi1970.62.1152
  38. ^ 東野英明, 木下孝昭, 栗田隆 ほか、「ロスマリン酸を多く含むシソ抽出物のラットでの血糖値上昇抑制作用」 『日本食品科学工学会誌』 2011年 58巻 4号 p.164-169, doi:10.3136/nskkk.58.164
  39. ^ Tomoki Hase, Syun Shishido, So Yamamoto, et al., Rosmarinic acid suppresses Alzheimer’s disease development by reducing amyloid β aggregation by increasing monoamine secretion, Scientific Reports, 9, Article number: 8711 (2019), doi:10.1038/s41598-019-45168-1






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