サーサーン朝 文化

サーサーン朝

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/05/17 23:41 UTC 版)

文化

サーサーン朝で育まれた行政組織や文化は後のイスラム時代にも多大な影響を残した。

銀貨

サーサーン朝では、直径3cmの大型で薄い高純度の銀貨を用いた、1ドラクム銀貨を数多く発行した。図柄は共通しており、片面には王冠をかぶった王の横顔胸像と王名等を示すパフラヴィー語での銘文、片面には拝火檀並びに2名の守衛像と、発行地・発行年を示すパフラヴィー語銘文を記している。

三蔵法師玄奘はペルシャ訪問の機会は無かったが、ペルシャの伝聞情報を得ており、大唐西域記第11巻第20節には、波剌斯国(ペルシャ国)の記録として、「良い馬・駱駝が多く、貨幣は大銀銭を使用する」と記載した。中国の方孔円形銅貨と比べると、サーサーン朝の1ドラクム銀貨は美麗であり巨大である。

著名な貨幣学者マイケル・ミッチナーが編纂した「東洋貨幣とその価値 古代・古典期の世界」には1ドラクム銀貨を中心に、サーサーン朝の貨幣473点を収録しているが、近隣の諸国でもサーサーンに類似した貨幣を多く発行した。サーサーンで発行された銀貨は、ソグド人などの中央ユーラシア社会における高額決済用の基軸通貨としても尊重された。

手工芸

ガラス器や銀製品などの工芸品は、世界史上に残る工芸品である。7世紀の日本に渡来した文物は、正倉院に今も収められている。またペルシャ錦といわれる織物が成立した。

料理

ホスロー2世時代に絢爛豪華で洗練された宮廷料理が成立し、サーサーン朝滅亡後もアッバース朝イスラム帝国の上流階級に引き継がれ、後には南アジア、中東、北アフリカにまで影響を及ぼした。記録に残っている料理には、ケバブブドウの葉のドルマが含まれている[11]


  1. ^ Chronique d'Agathias.
  2. ^ Will Durant, Age of Faith, (Simon and Schuster, 1950), 150; Repaying its debt, Sasanian art exported it forms and motives eastward into India, Turkestan, and China, westward into Syria, Asia Minor, Constantinople, the Balkans, Egypt, and Spain..
  3. ^ "Transoxiana 04: Sasanians in Africa". Transoxiana.com.ar. Retrieved 16 December 2013.
  4. ^ Sarfaraz, pp. 329–330
  5. ^ "Iransaga: The art of Sassanians". Artarena.force9.co.uk. Retrieved 16 December 2013.
  6. ^ Abdolhossein Zarinkoob: Ruzgaran: tarikh-i Iran az aghz ta saqut saltnat Pahlvi, p. 305
  7. ^ ĒRĀN, ĒRĀNŠAHR – Encyclopaedia Iranica”. www.iranicaonline.org. 2019年11月9日閲覧。
  8. ^ ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 ササン朝とは”. コトバンク. 2018年1月3日閲覧。
  9. ^ ディミトリ・グタス『ギリシア思想とアラビア文化―初期アッバース朝の翻訳運動』(山本啓二 訳)勁草書房, 2002/12/20.
  10. ^ 後藤明、吉成勇編『世界「戦史」総覧』新人物往来社、1998年、pp.46-47
  11. ^ Arthur Christensen. Contes persans en langue populaire. Copenhagen: Andr. Fred. Høst & Son, 1918.
  12. ^ a b 青木健『新ゾロアスター教史』(刀水書房、2019年)142-144ページ。
  13. ^ a b c 前掲『新ゾロアスター教史』144-157ページ。
  14. ^ 前掲『新ゾロアスター教史』178ページ。
  15. ^ a b c d e f g h 前掲『新ゾロアスター教史』157-168ページ。
  16. ^ 前掲『新ゾロアスター教史』157-168ページ。






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