クロックタワーゴーストヘッド クロックタワーゴーストヘッドの概要

クロックタワーゴーストヘッド

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/11/27 02:27 UTC 版)

クロックタワーシリーズ > クロックタワーゴーストヘッド
クロックタワーゴーストヘッド
ジャンル アクションアドベンチャー
ポイント・アンド・クリックアドベンチャー
サバイバルホラー
対応機種 プレイステーション[PS]
ゲームアーカイブス[GA]
開発元 ヒューマン
発売元 [PS]ヒューマン
[GA]サン電子
シリーズ クロックタワーシリーズ
人数 1人
メディア [PS]CD-ROM
発売日 [PS]1998年3月12日
[GA]2012年5月9日
対象年齢 CEROC(15才以上対象)
テンプレートを表示

概要

前作までは巨大なハサミを備え持つ怪人シザーマンが殺人鬼として登場し、ヨーロッパにおけるゴシックホラーやサイコサスペンスホラーをモチーフにした非日常的な世界を演出していたが、今作では舞台が日本となる。とある家系の怨念、呪い、悪霊、豹変し凶器を持って襲い掛かる少女など、日本特有のオカルト要素をモチーフにした、Jホラー的な雰囲気が特徴である。旧作に比べてストーリー性が増し、ゲーム中で用いられているBGMの種類も増えているなどの変化がある。

なお、シリーズの生みの親である河野一二三は製作に関わっていない。

アメリカでは前作『クロックタワー2』が『Clock Tower』名義で発売されたため、本作は『Clock Tower II: The Struggle Within』として発売された。舞台もカリフォルニア州サリナスに変更され、登場人物の名前も西洋風に置き換えられているが、作中の表現やグラフィックは日本風のままである[注 1]

ストーリー

1999年の春、東京の高校に通う御堂島優は学校で心神喪失状態で傷害事件を起こした。その時の自分は「翔」と名乗ったと言う。自分の中の残虐非道な人格が存在するという事実に怯える優だが、彼女には心の拠り所が存在した。「ミコシサマ」というそのお守りはいつも肌身離さず持ち歩いていたが、あの事件の時はこれを手放していた。つまりミコシサマを持っている限り、翔は発現しない。優にはそれが確信できた。

事件の所為で転校を余儀なくされた優は、弁天町にある父の友人宅に居候する事になった。弁天町は薬品研究所の御膝元と言うべき小さな町であり、父の友人である鷹野初はその研究所の所長であった。

日も暮れた頃、鷹野家に到着した優だが、家の中は人気が無く、時折怪しい物音が聞こえ、どこか不気味な空気に包まれていた。家の中を歩き回る優は、やがて黄色い血を流す緑の肌のバラバラ死体を発見する。そして恐怖に駆られる優に追い打ちを掛けるように、鷹野家の次女・千夏がけたたましい笑い声と共に包丁を振り回して襲い掛かった。その優の恐怖心に呼応し、再び発現する人格・翔。惨劇の一夜が幕を開けた。

ゲームシステム

カーソルで移動先、調査対象を指定する点は従来のシリーズを踏襲しているが、謎解きの面では本作独自の要素が導入されている。

人格交代
主人公の優は二重人格であり、極度の恐怖や身に危険に晒された時、翔と名乗る男性の人格が出現する。よって、危険な状態になると自動的に翔が出現し、優の人格を抑えて活動を始める。ただし、優の状態でミコシサマと呼ばれるお守りを所持していれば、翔が出現することはない。つまり、ミコシサマは優と翔の人格変化の鍵であり、プレイヤーは二つの人格を操作することでシナリオを進行させていくこととなる。そのシステム上、ミコシサマを手放した状態でわざと敵に襲われ、翔を出現させなければならない時もある。逆に言えば敵に追われなければ翔になる事が出来ない。ミコシサマを置ける場所はあちこちに点在する。翔の状態でミコシサマを回収すると優に戻る。
人格交代は謎解きや逃走だけではなくストーリー上においても重要であり、翔の粗野な態度が身の破滅を招いたり、逆に優がミコシサマを持っていた所為でピンチの際に翔に交代できず殺されてしまう、などと言った変化が用意されている。
救急箱
今作における体力回復手段。同じ場所で何度でも使用できる。クリックするとその場で自動的に回復する。携帯はできず、体力が減っていない時にはおかれている場所をクリックしても効果は無い。なお救急箱がある場所は大抵ミコシサマをおけるようになっているが、救急箱の入手地点にミコシサマを置き、体力が減った状態でクリックした場合、ミコシサマの入手が優先される。
銃火器類
翔の唯一の攻撃手段。翔でこれらの武器を持っていなかった場合、入手可能な場所で拾って使うことが出来る。優の場合は武器を発見しても拾う事はあまり無く、所持しても技術や知識が無いため使用できない。翔の状態で武器が手に入らない状況下で敵に追われている場合は優に戻った上でアイテムや回避ポイントを使っての撃退が必要となる。その為、逃走中はミコシサマを手放す事は出来ないが回収は可能。また、逃走中でも武器を拾う事はできる。
拳銃
最も多く配置されている武器。弾数は5。2章以降で出現するゾンビに対しては弱点を狙わなければ倒すことができない。威力も低く、才堂に対しては数発撃ち込まなければ倒せない。
ショットガン
2章から登場するが数は少ない。弾数は4。敵の全部位を攻撃できるためゾンビを1発で倒せるが、才堂には2発使ってしまう。
マシンガン
最強の武器。弾数が20と破格の多さでありゾンビは勿論、才堂すらも一回の攻撃で倒せる。ゲーム中に2丁しか存在せず、1丁は隠しアイテム扱い。もう1丁はエンディング直前に手に入る。
イノリサマ
隠し武器。見た目は青いミコシサマだが、構える事によって三段階までチャージされる光線を放てる。使用回数は無制限。チャージは一段階で拳銃、二段階でショットガン、フルチャージでマシンガンと同等の性能となる。チャージする暇が無ければ拳銃程度の性能しかないため、敵と距離が近い状況で使うのは不利。あくまで隠し要素に過ぎず、ストーリーでは一切触れられない。
カーソル
画面上に表示される矢印。これを動かし画面上のものをクリックしていくことでキャラクターを間接的に動かし、ゲームを進めていく。後述のパニック状態中には激しく点滅して危機を知らせる。また体力メーターも兼ねており、敵の攻撃の回避に成功すると体力の減少を色の変化で知らせる。最低値は赤で、この時にパニック状態に陥るとゲームオーバーとなる。
移動の際は、カーソルを少しずつずらしながら決定ボタンを連続で押していけば立ち止まることなくスムーズにキャラを移動させることができ、前作よりも操作性は上がっている。
クリックポイント
調査可能な対象物。対象物が扉の場合は開閉して移動する。カーソルをクリックポイントに重ねると、カーソルの形状が変化し、扉の場合はカーソルに矢印のマークがつく。
体力
主人公の体力。前述の通り、カーソルの色で判別する。満タンは白、一段階減っている場合はオレンジ、最低は赤である。パニック状態中に追跡者の攻撃やトラップを回避した際に減少し、最低の段階でパニック状態に入ると連打の有無に関係なくゲームオーバーとなってしまう。体力の減少は回避の可否にのみ関わり、それ以外の行動には一切影響しない。救急箱を入手すれば回復可能。前作では、減った体力は通常状態時のみ、時間経過で回復したが、今作は回復アイテムの救急箱を取らなければ回復しない。最低の状態で死亡すると一段階回復した状態でコンティニューとなる。
通常状態
敵に見つかっていない状態。基本的に無音(特定の部屋をのぞく)であり、特定の箇所のクリックによる敵出現、イベントでの敵出現、一度敵を撃退後に一定時間が経過するなどして敵に見つかるとBGMが鳴ると共に逃走状態へ移行する。前作に比べると時間経過による出現頻度はかなり低く、特定のポイントをクリックする事で出現するか、敵がいるマップに入ることで遭遇するパターンが大半である。
逃走状態
敵に発見され追われている状態。BGMが鳴り、アイテムによる撃退ないし回避ポイントを用いて敵を完全に回避するまでは逃走状態が継続する。また特定の敵に関しては、条件を満たして撃退しないと復活し続ける場合もある。逃走状態中は、ドア及び敵の撃退・回避に有効なものにしかクリックポイントが発生しない。前作と異なり、逃走中はセーブ不可。
また、前作ではクリックした地点に移動している最中はマップ外にいる敵キャラクターが侵入してこないようになっていたが、本作では移動中でも時間経過後に侵入してくるようになったため油断していると追いつかれ易くなる。回避ポイントへ移動中に敵が侵入してきた場合、ポインターが消滅して隠れることができなくなる(撃退ポイントについては引き続きクリックは可能)など、逃走のリアリティが高められている。
回避ポイント
クローゼットやロッカーの中など、隠れて敵をやり過ごせるクリックポイント。「隠れポイント」とも。前作まではポイントによっては隠れても発見されてしまう場合があったが、今作では見つかる事はまず無い。
撃退アイテム
敵を撃退するためのアイテム。モップ、椅子、消火器、洗面器などの日用品がほとんどで、今作では優専用の撃退アイテムとなる。別の作品で「回避ポイント」と呼ばれるもの。一度使うと無くなってしまうもの、何度でも利用可能なものの2種類がある。中にはダメージを与えられず、撃退に失敗するアイテムもある(その場合は部屋を出て逃走状態が継続)。これらや回避ポイントが全く無い部屋も多く、前作に比べると配置が疎らである。また、有効なポイントであれば必ず一撃で倒せるため、翔の銃撃よりも有利。
パニック状態
敵に追い詰められパニックに陥っている状態。カーソルの点滅によってパニックを示し、RSIシステムが発動する。
RSIシステム
これまでのシリーズで共通して用いられていた、ボタン連打による危機回避システムの通称。連打せずにはいられない(RENDA・SEZUNIHA・IRARENAI)の略称。追跡者や即死トラップに襲われるパニック状態中にボタン連打することによって危機を回避する。追跡者の攻撃を回避した場合は入ってきたドアの外へと自動的に出る。体力が最低値の場合は連打の有無に関わらずそのままゲームオーバーとなる。ゲームオーバー後はコンテニュー画面に移行し、続行するとゲームオーバーになった直後の地点から(追跡者に殺された場合は逃走状態のまま)引き続き再開となり、再開しなかった場合はタイトル画面に戻る。前作のようにメインメニューには戻らないが、タイトル画面に戻ってしまうとコンティニューはできなくなる。また、バッドエンドを迎えた場合も再開できないため、セーブした箇所からやり直しとなる。
トラップ
シリーズ恒例の主人公を死に至らしめる罠。発生するのは優の場合のみ。その場所をクリックする事で発動し、優を襲う。即座に殺される訳ではなく、パニック状態となって連打イベントが発生する。基本的に失敗すると死亡するが、中には体力減少で済むトラップもある。体力減少トラップの場合は連打に成功すれば体力が減らずに済むが、体力が最低の状態で連打に失敗するとゲームオーバーとなる。また、連打に成功してもRSIシステム同様に体力が減少するトラップも一箇所存在する。中には連打以外で切り抜けるものもある。
隠し要素
制服の夏服とサルの着ぐるみが追加されるコスチュームチェンジコマンドや、サウンドテストコマンド、「イノリサマ」が出現するコマンドがそれぞれ存在する。全エンディングクリア後に表示されるが、コマンド入力自体はクリア前から可能。コスチュームを元に戻すにはリセットするしかない。
また、翔を操作してゾンビを倒し、スコアを稼ぐミニゲームがクリア後にプレイ可能になる。
プレイステーションのブラウザで本作のセーブデータを確認すると、シザーマンの愚痴を見る事が出来る(他のヒューマン作品にも見られるお遊び要素)。
イベントカット機能
オプション画面からONにすると、本編中のイベントの他、オブジェクトをクリックした時、敵撃退時、ドアの開閉やエレベーター移動時などのモーションを省略することが可能。

注釈

  1. ^ 例を挙げると、オープニングムービーに映る鳥居や病院に書かれた「受付」の文字などもそのまま。
  2. ^ 才堂家で呪われた子と看做される双子は女児に限ったとされるのに対し翔は男性人格であるが、文章内では一貫して「双子」という表記のみで、一卵性双生児なのか、二卵性双生児なのかの言及はないため、優の片割れの性別が実際どうだったかは不明。
  3. ^ 誰がバラバラにしたのかは言及されないが、風呂場とトイレにある部位を調べると千夏の笑い声が聞こえる。
  4. ^ クリア特典の「GUIDE」によると、人類への復讐心を抱いたためではないかとされる。
  5. ^ 礎を操作中のみ噛み付いて来る。

出典

  1. ^ ただし、このシーン以外で起こる怪奇現象に関しては幻覚剤の作用のせいなのかは明言されておらず、第三章では幻覚剤の作用では説明のつかない物理的な怪現象(トイレにいきなり引きずり込まれる、研究室に放置された臓物が動き出して襲ってくる等)も起きている。
  2. ^ 週刊ファミ通 No.486. ASCII. (1998年4月10日). p. 13 


「クロックタワーゴーストヘッド」の続きの解説一覧




固有名詞の分類


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「クロックタワーゴーストヘッド」の関連用語

クロックタワーゴーストヘッドのお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



クロックタワーゴーストヘッドのページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのクロックタワーゴーストヘッド (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2024 GRAS Group, Inc.RSS