アウトウニオン・レーシングカー
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設計
アウトウニオン・レーシングカーが採用したミッドシップ・レイアウトは戦後クーパー・カー・カンパニーによって再び注目を集めたが、戦前のレースカーでは極めて異例な設計だった。前から順にラジエーター、ドライバー、燃料タンク、エンジンという構成で並ぶレイアウトだった。
ミッドシップ設計を採用するに当たっては当時のラダーフレームシャシーとサスペンションの低い剛性が問題になった。エンジンを車体の中心付近に搭載したことでシャシーへの負荷が増大した結果、旋回時にターニングアングル(左右前輪の切れ角)が変化することになり、オーバステアを引き起こした。 フロントサスペンションは全てのモデルで独立懸架式であり、平行する2本のトレーリングアームとトーションバースプリングを組み合わせた上下2段式トレーリングアーム・サスペンションを搭載した。 初期のモデルではリアサスペンションに当時最新鋭だったスイングアクスル式サスペンションを採用したが、これはオーバーステア特性を改善する為のフェルディナント・ポルシェによるアイディアだった。
後期モデルであるタイプDのリアサスペンションにはメルセデス・ベンツのマシンに倣ってド・ディオンアクスルが採用されたが、タイプDのスーパーチャージャー付V12エンジンの出力は最終的に550馬力に達し、オーバーステア特性を悪化させた。 アウトウニオン・レーシングカーのオリジナルのエンジンはフェルディナント・ポルシェが設計したV16エンジンだったが、1938年のレギュレーション改定でスーパーチャージャー付エンジンの最大排気量が3.0Lに制限されたことを受けて新開発のV12エンジンに変更された。
タイプAのエンジンは本来6.0L V16エンジンとして設計されたが、実際に搭載されたエンジンは排気量4,358 cc のV16エンジンで295 bhp (220 kW)を発生した。2つのシリンダーブロックはバンク角45度で配置された。このエンジンでは1本のカムシャフトが32のバルブ全ての開閉を行い、半球状シリンダーヘッド内の吸気バルブはロッカーアームで直接カムシャフトに接続されたが、排気バルブ側のロッカーアームはスパークプラグの上を通るパイプ内のプッシュロッドを介してカムシャフトと接続された。構造上このエンジンは3つのヘッドカバーを持つことになった。 アウトウニオン・レーシングカーのV16エンジンは低回転域から充分なトルクを発生したが、その柔軟なトルク特性はベルント・ローゼマイヤーがニュルブルクリンクで1つのギアのみで走行してみせたことで実証された。
ボディー開発は現存する科学研究機関であるドイツ航空宇宙センターの風洞を利用して行われた。燃料タンクは車体の中央、ドライバーの着座位置直後に設置されていたが、これはレース中の燃料消費による前後の重量バランスの変化が起きないという利点をもたらした。(この点から燃料タンクは現代のフォーミュラカーでも同様の位置に設置される。)初期のモデルではシャシーフレームの鋼管を通してラジエーターからエンジンに冷却水を送る設計になっていたが、冷却水の漏洩が発生するこのシステムは最終的に放棄された。
- ^ 原文では4,385ccだが誤植と思われる。3.14159×(6.8/2)×(6.8/2)×7.5×16=4,358.013648。
- ^ いずれ6,000rpmに向上させるとしていた。
- ^ 原文では4,360ccだが四捨五入してあると思われる。3.14159×(6.8/2)×(6.8/2)×7.5×16=4,358.013648。
- ^ 原文では4,950ccだが四捨五入してあると思われる。3.14159×(7.25/2)×(7.25/2)×7.5×16=4953.89473125。
- ^ 原文では6,010ccだが四捨五入してあると思われる。3.14159×(7.5/2)×(7.5/2)×8.5×16=6,008.290875。
- ^ 原文では6,330ccだが四捨五入してあると思われる。3.14159×(7.7/2)×(7.7/2)×8.5×16=6,333.0056174。
- ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v w x y z aa ab ac ad ae 『F.ポルシェ その生涯と作品』pp.83-90「アウト・ウニオン・レーシングカー」。
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