アウディスポーツ アウディスポーツの概要

アウディスポーツ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/01/19 19:01 UTC 版)

ロゴ
RS5 Turbo DTM(2019年)

ラリー系競技

スポーツ・クワトロを運転する女性ドライバー、ミシェル・ムートン(1984年RACラリー)
マティアス・エクストロームのS1 RXスーパーカー

アウディスポーツ創設の1978年から80を用いてドイツラリー選手権で活動した後、1981年から世界ラリー選手権(WRC)にグループ4英語版規定のクワトロで参戦を開始。

クワトロは四輪駆動をトラックやSUVではなく乗用車に搭載するという、当時の欧州では珍しい存在であり、まだ後輪駆動が主流だったラリー界に衝撃を与えた。1982年1984年にマニファクチャラーズタイトルを獲得して通算23勝を挙げ、ミシェル・ムートン/ファブリィツァ・ポンスの女性コンビがランキング2位という快挙も達成。グループB以降のライバルメーカーも四輪駆動化に追随し、以後ラリーにおける優位性を決定的にした。またクワトロはパイクスピーク・インターナショナル・ヒルクライムラリークロスなど、グループB車両が使用できる他のカテゴリでも成功を収めた[2]グループA時代のWRCにも継続して参戦したが、豊富な開発資金とコンパクトなボディを持つランチア勢に屈した。その後はブランドとしてWRCには参戦していないが、同一グループのシュコダ・ファビアWRCの開発協力を行った[3]

2014年に開幕した世界ラリークロス選手権マティアス・エクストロームを支援する形で参戦し、2016年にドライバー・チームの2冠を獲得した。

2022年からはステファン・ペテランセルカルロス・サインツといったレジェンドたちを引き入れた上で、エンジンで発電しモーターで駆動するシリーズ式ハイブリッド車両の「RS Q e-tron」をダカール・ラリー及び世界ラリーレイド選手権に投入している。三菱ミニのワークスラリーチームを率いた経験のあるスヴェン・クワントの一家が新規に立ち上げた、Qモータースポーツがチームオペレーションを担う[4]。2024年、第46回ダカールラリーでステージ優勝こそなかったもののカルロス・サインツがオーバードライブ・トヨタのギヨーム・ド・メビウスに1時間20分25秒の差をつけて4年ぶり4度目の総合優勝を果たし、アウディにとってはダカールラリーでの初優勝となる記念すべきものとなった[5]。2026年のF1参戦までのアウディのワークス活動は、このラリーレイドのみとなる見通しである。

GT/ツーリングカー

DTMのアウディ艦隊(2017年)
R8 LMS Evo II(2022年)

グループB廃止後のアウディは、クワトロシステムを携えてIMSA GTODTM、各国スーパーツーリングを転々とし、多くの戦果を挙げた。DTMではBMWメルセデスを破ってチャンピオンを獲得し、1996年には6カ国のスーパーツーリングレースでチャンピオンとなった。

しかし四輪駆動のサーキットでの強さが認知されすぎた結果、重い性能調整や四輪駆動禁止などを受けて1990年代末に撤退した。その後はプライベーターがしばしBTCC(英国ツーリングカー選手権)でアウディ車を用いている。

新生DTMには2004年から2020年までワークス参戦し、メルセデスやBMWと激闘を繰り広げ、多くのタイトルを獲得した[6]

2023年現在は、後輪駆動グループGT3規定のR8 LMS Evo IIと、前輪駆動TCR規定のRS3 LMSを開発・製造し、プライベーター向けにマシン供給を行っている。

GT3ではチームWRTセミワークスとし、欧州の主要GTレースを総舐めにし、無類の強さを誇った(2022年に契約終了)。TCRでは世界ツーリングカーカップ(WTCR)にアウディ系のプライベーターが複数参戦している。

日本のSUPER GTのGT300クラスでもプライベーターがR8のGT3車両を運用し、たびたび勝利を手にしているが、まだタイトルには手が届いていない。WTCRの日本ラウンドでは一ツ山レーシングがRS3 TCRでワイルドカード参戦したことがある。

2026年に参戦するF1へリソースを注力するため、2023年を持ってGT3のワークス活動から撤退してワークスドライバー14名との契約を解除[7]、さらに2024年第一四半期を持ってGT3/GT4/TCR車両の生産を終了する。カスタマーへのサポートのみ継続される[8]


  1. ^ かつてラリーで無敵を誇ったアウディの4WDシステム「クワトロ」の秘密とは
  2. ^ The beginning: quattro”. audi.com. 2023年5月6日閲覧。
  3. ^ Fabia WRC 05
  4. ^ アウディ、電動ドライブトレーンで22年のダカールへ。スベン・クワントの新チームとタッグ
  5. ^ ダカールラリー2024、カルロス・サインツSr.が総合優勝。アウディに歴史的な初勝利をもたらす”. jp.motorsport.com (2024年1月19日). 2024年1月19日閲覧。
  6. ^ a b New era”. audi.com. 2023年5月6日閲覧。
  7. ^ F1参戦の余波でアウディのカスタマー部門が“戦略的事業”に幕。GT3などのマシン販売終了、サポートは継続へ
  8. ^ アウディ、F1開発リソース確保のためにGT3レースへのファクトリー参戦を2023年で終了。部門の完全閉鎖検討も縮小継続へ
  9. ^ アウディ、LMDhでスポーツカー復帰へ!「カーボンニュートラルと同時に顧客の願いも念頭に」”. autosport web. 2020年12月1日閲覧。
  10. ^ アウディ、LMDhプログラム中止を正式発表。2022年3月、テストデビュー寸前で中断表明か”. autosport web. 2022年8月26日閲覧。
  11. ^ アウディが2026年からのF1参戦を発表。パワーユニットサプライヤーとして活動開始”. autosport web. 2022年8月26日閲覧。
  12. ^ 2026年からF1参戦のアウディ、ザウバーとファクトリーチーム契約。株式取得の計画も”. autosport web. 2022年10月26日閲覧。


「アウディスポーツ」の続きの解説一覧



英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「アウディスポーツ」の関連用語

アウディスポーツのお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



アウディスポーツのページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのアウディスポーツ (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2024 GRAS Group, Inc.RSS