アイ・ニード・ユー (ビートルズの曲) 映画『ヘルプ!4人はアイドル』での使用

アイ・ニード・ユー (ビートルズの曲)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/01/11 14:14 UTC 版)

映画『ヘルプ!4人はアイドル』での使用

映画『ヘルプ!4人はアイドル』での本作のシーンは、ストーンヘンジ付近で撮影された。

「アイ・ニード・ユー」のシーンは、5月3日から5日にかけて撮影され[34]ウィルトシャーソールズベリー平原英語版でバンドが曲に合わせてマイム演奏する様子で構成されている。映画の撮影が開始されて以来、ビートルズとりわけハリスンとレノンが長編映画で期待されていたパブリック・イメージから遠ざかるような出来事が起こり、バンドの考え方に大きな影響を与えていた[35][36]。これらの出来事の中でハリスンは、バハマで地元のヒンドゥー教の学者から『Complete Illustrated Book of Yoga』をプレゼントされたことから、インド哲学に興味を持ちだし[37]、3月下旬にはレノンとボイド、レノンの妻であるシンシアと共に[38]LSDを初めて体験し[39]、4月にロンドンで行なわれたレストランのシーンの撮影時に初めてシタールを知ることとなった[40]。ティラリーは、「1965年はハリスンの人生における最も『重要な』1年であり、LSDは彼の永続的な精神的な悟りの探求への扉を開いた」と述べている[41]

「アイ・ニード・ユー」のシーンでは、屋外でのレコーディング・セッションが描かれており[36]、間に合わせのコントロール・ブースとマイクが空き地に設置されている[42]。映画においてスターが謎のカルト教団から標的にされていることから[43][44]、ビートルズはイギリスの第3王立戦車連隊の保護下に置かれ[45]、兵士や戦車に囲まれた中で演奏している[35][46][注釈 4]。撮影当時は寒く、映画内ではスターがドラムセットの後ろで震えている様子が確認できる[16]


注釈

  1. ^ 音楽評論家のリッチー・アンターバーガー英語版は、マーティンのコメントは「ユー・ライク・ミー・トゥ・マッチ」についてのものと推測している[5]。ビートルズはアルバム『ハード・デイズ・ナイト』のレコーディング終了後の1964年6月に[7]、同作のデモ音源を録音している[8][9]
  2. ^ 映画『ヘルプ!4人はアイドル』の撮影に伴い、ボイドと別居していた時期にバハマで書かれたと主張する作家もいるが、本作のレコーディングが行われたのは、バハマでの撮影の1週間前である[13][12]
  3. ^ ただし、4月に出演したラジオ番組のインタビューで、ハリスンは自分が書いた2曲が映画に登場するかはわからないと語っている[28]
  4. ^ マッカートニー作の「ザ・ナイト・ビフォア」のシーンもこの時に撮影された[47]

出典

  1. ^ a b Pollack, Alan (1962年12月7日). “Notes on "I Need You"”. Notes on ... Series. 2019年1月2日閲覧。
  2. ^ Tillery 2011, pp. 31–32.
  3. ^ Clayson 2003, pp. 179–180.
  4. ^ Winn 2008, p. 253.
  5. ^ a b Unterberger 2006, p. 96.
  6. ^ Womack 2017, p. 249.
  7. ^ Everett 2001, p. 248.
  8. ^ Winn 2008, p. 186.
  9. ^ Lewisohn 2005, pp. 44–45.
  10. ^ Clayson 2003, p. 179.
  11. ^ Tillery 2011, p. 31.
  12. ^ a b MacDonald 1998, p. 129.
  13. ^ a b Turner 1999, p. 78.
  14. ^ Williamson, Nigel (February 2002). “Only a Northern Song”. Uncut: 60. 
  15. ^ Tillery 2011, pp. 30–31.
  16. ^ a b c O'Toole, Kit (2014年3月28日). “Deep Beatles: 'I Need You,' from Help! (1965)”. Something Else!. 2021年7月17日閲覧。
  17. ^ a b Clayson 2003, p. 180.
  18. ^ Miles 2001, p. 188.
  19. ^ MacDonald 1998, p. 450.
  20. ^ a b c Lewisohn 2005, p. 54.
  21. ^ Everett 2001, p. 284.
  22. ^ a b Leng 2006, p. 18.
  23. ^ a b Inglis 2010, p. 5.
  24. ^ Miles 2001, p. 189.
  25. ^ Unterberger 2006, pp. 118–119.
  26. ^ Robertson 2002, p. 12.
  27. ^ Tillery 2011, p. 159.
  28. ^ Winn 2008, p. 313.
  29. ^ Hertsgaard 1996, p. 128.
  30. ^ Clayson 2003, pp. 181–182.
  31. ^ Winn 2008, p. 296.
  32. ^ MacDonald 1998, pp. 129–130.
  33. ^ Ryan & Kehew 2006, p. 221.
  34. ^ Miles 2001, p. 195.
  35. ^ a b Clayson 2003, p. 182.
  36. ^ a b Barker, Geoff (2009年3月9日). “The Beatles on Salisbury Plain”. BBC Online. 2021年7月18日閲覧。
  37. ^ Tillery 2011, p. 33.
  38. ^ Bray 2014, p. 178.
  39. ^ Savage 2015, p. 114.
  40. ^ Miles 2001, pp. 192–193.
  41. ^ Tillery 2011, pp. 32–33, 47.
  42. ^ Fremaux 2018, p. 62.
  43. ^ Gould 2007, pp. 274–275.
  44. ^ Jackson 2015, p. 161.
  45. ^ Winn 2008, p. 317.
  46. ^ Robertson 2002, p. 16.
  47. ^ Turner 1999, p. 76.
  48. ^ Miles 2001, p. 203.
  49. ^ Lewisohn 2005, p. 62.
  50. ^ Womack 2017, pp. 248–249.
  51. ^ Rodriguez 2010, pp. 300, 302.
  52. ^ Rodriguez 2010, p. 343.
  53. ^ Badman 2001, p. 214.
  54. ^ Gould 2007, p. 266.
  55. ^ Hertsgaard 1996, pp. 128–129.
  56. ^ Brackett & Hoard 2004, pp. 52–53.
  57. ^ Bergstrom, John (2009年11月12日). “The 'Worst' of The Beatles: A Contradiction in Terms?”. PopMatters. 2021年7月18日閲覧。
  58. ^ Kemp, Mark (8 September 2009). “The Beatles: The Long and Winding Repertoire”. Paste: 59. https://www.pastemagazine.com/articles/2009/09/the-beatles-the-long-and-winding-repertoire.html. 
  59. ^ Erlewine, Stephen Thomas. “Help! - The Beatles | Songs, Reviews, Credits”. AllMusic. All Media Network. 2021年7月18日閲覧。
  60. ^ Ryan & Kehew 2006, p. 389.
  61. ^ Womack 2017, p. 271.
  62. ^ Billboard (Nielsen Business Media, Inc.) 79 (39). (30 September 1967). ISSN 0006-2510. 
  63. ^ Inglis 2010, p. 125.
  64. ^ Inglis 2010, pp. 125–126.
  65. ^ Ling, David (2018年10月5日). “Steve Perry - Traces album review”. loudersound.com. 2021年7月19日閲覧。
  66. ^ Steve Perry Says He 'Got the Blessing' of George Harrison's Widow to Reimagine the Beatles' 'I Need You'”. Blabbermouth.net (2018年8月23日). 2021年7月19日閲覧。





英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「アイ・ニード・ユー (ビートルズの曲)」の関連用語

アイ・ニード・ユー (ビートルズの曲)のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



アイ・ニード・ユー (ビートルズの曲)のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのアイ・ニード・ユー (ビートルズの曲) (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2024 GRAS Group, Inc.RSS