かな入力 パーソナルコンピュータのかな入力

かな入力

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/09/24 06:59 UTC 版)

パーソナルコンピュータのかな入力

パーソナルコンピュータで一般的なハードウェアキーボードを利用した「かな入力」では、キーを打鍵することでキーに刻印されている文字のうち日本語部分に対応する文字が入力される。入力された文字に「かな漢字変換」を行い、漢字仮名交じり文にする。「かな入力」に対応するキー配列は複数あるが、日本国内で最も普及しているJISキーボードに刻印されているJISかな配列が一般的であり、多くのコンピュータの標準的な日本語入力システムにおいてJISかな入力が採用されている。

JISかな配列がデファクトスタンダードとなる以前には複数のキー配列が使用されていた他、JISかな配列の普及移行も打鍵効率の向上または打鍵疲労軽減などを目的として新たなキー配列が幾つか開発されている。ただし、JISかな配列以外の配列は標準的な日本語入力システムには実装されていない場合が多く、それぞれ個別に指定された方法で導入する必要がある。

「かな入力」は、一部の連想式漢字直接入力を使用した日本語入力システムでも使用されていた。

スマートフォン・タブレットのかな入力

タッチパネルを応用したソフトウェアキーボードでの文字入力が主なスマートフォンタブレット端末でも「かな入力」という名称の入力方式が存在するが、ハードウェアキーボードの「かな入力」とは方式などが大きく異なる場合が多い。

タブレット端末用のOSであるiPadOSに標準的に組み込まれた「かな入力」ではハードウェアキーボードで一般的なJISかな配列ではなく、仮名キーを五十音図の通りに並べた五十音順配列が採用されている。

スマートフォンのiOSAndroidが備える「かな入力」では表示スペースの問題からテンキー型(日本語 12キーなどとも呼ばれる)のソフトウェアキーボードが使用され、デフォルトで表示されるキーは仮名五十音のうち各行の「あ」段の文字のみである。各行の「い」段以下の文字は、トグル入力またはフリック入力と呼ばれる方式で選択して入力する。特にフリック入力はスマートフォンの時代に登場したソフトウェアキーボードならではの入力方式であり、「フリック入力」がスマートフォンにおける「かな入力」の代名詞的な呼称にもなっている。

JISかな配列はQWERTY配列より多くのキーを使用しなければならないこともあり、画面が小さいスマートフォンでは標準的に採用された例はない。ただし、サードパーティ製のソフトウェアキーボードの中には極一部に「かな入力」にJISかな配列を採用したものも存在する。なお、スマートフォン・タブレットでもハードウェアキーボードを外部接続した場合は「かな入力」としてJISかな配列が利用可能な場合が多い。

かな入力の利用状況

2020年現在、スマートフォンにおいては「かな入力」は広く利用されているものの、パーソナルコンピュータでは大多数に利用されている入力方式はローマ字入力であり、「かな入力」はもはやマイナーな入力方式になってきている。

1990年のワープロ保有者へのアンケートではJISかな配列は55.1%、親指シフトは15.1%と、「かな入力」はローマ字入力の30.9%よりも圧倒的多数に利用されていたが、2015年角川アスキー総合研究所が行った調査によれば、コンピュータのローマ字入力の利用者は全体の93.1%に拡大しており、対してJISかな配列の「かな入力」の利用者の割合は僅か5.1%に減少している。60代以上の高齢世代では他の世代に比べて「かな入力」の利用者が多いものの、それでもJISかな配列は11.3%に留まっている[1]

こうした利用者数の大幅な減少から、各電子機器メーカー・OSメーカーのJISかな配列への対応は冷ややかであり、例えばQWERTY配列がどの機器でも共通して利用できるのに比べ、2010年代以降に普及したソフトウェアキーボードでは同じ「かな入力」でもキー配列が機器によって異なるなど、JISかな配列の習得者に手厚いサポートが行われているとは言いがたい状況となっている。

2021年現在においても日本国内ではハードウェアキーボードに対するJISかな配列の「かな刻印」が継続されているが、多数派となったローマ字入力の利用者を中心に「かな刻印」を取り除いたキーボードを要望する声もある[1]


  1. ^ a b 日本人は“大人”になるとローマ字入力になるらしい by遠藤諭”. 週刊アスキー. 2020年12月12日閲覧。
  2. ^ 中指前置シフト新JIS「月配列」”. 2019年3月21日閲覧。
  3. ^ 花のくに 中指シフト方式仮名文字配列”. 2019年3月21日閲覧。


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