Selenocysteineとは? わかりやすく解説

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セレノシステイン

分子式C3H7NO2Se
その他の名称セレノシステイン、Selenocysteine、3-Selenylalanine、L-セレノシステイン、L-Selenocysteine、3-Selenyl-L-alanine、(2R)-2-Amino-3-(hydroseleno)propionic acid、3-(Hydroseleno)alanine
体系名:(R)-3-セレニル-2-アミノプロパン酸、3-セレニルアラニン、3-セレニル-L-アラニン、(2R)-2-アミノ-3-(ヒドロセレノ)プロピオン酸、3-(ヒドロセレノ)アラニン


セレノシステイン


セレノシステイン

(Selenocysteine から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/07/15 23:20 UTC 版)

セレノシステイン[1]
識別情報
CAS登録番号 3614-08-2 
PubChem 25076
ChemSpider 23436 
UNII 0CH9049VIS 
DrugBank DB02345
KEGG C05688 
ChEBI
ChEMBL CHEMBL109962 
特性
化学式 C3H7NO2Se
モル質量 168.05 g mol−1
特性
酸解離定数 pKa 5.24,[2] 5.43[3]
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。

セレノシステイン (selenocysteine) はアミノ酸の一種である。3文字表記は Sec、1文字表記は U[4]システインに似た構造を持つが、システインの硫黄 (S) がセレン (Se) に置き換わっている。セレノシステインを含むタンパク質セレノプロテインと呼ばれる。

セレノシステインは、酸化還元に関わるいくつかの酵素(グルタチオンペルオキシダーゼ、テトラヨードチロニン-5'-脱ヨウ素化酵素、チオレドキシン還元酵素、ギ酸デヒドロゲナーゼ、グリシン還元酵素や一部のヒドロゲナーゼなど)に存在する。

タンパク質に含まれる他のアミノ酸と違い、直接遺伝コードされているわけではない。セレノシステインは、普通はストップコドンとして使われるUGAコドンによって、特別の方法でコードされる。すなわち mRNA 中の UGAコドンはSecIS(SElenoCysteine Insertion Sequence、セレノシステイン挿入配列)がある場合にのみセレノシステインをコードする。SecISは特徴的なヌクレオチド配列と塩基対パターン(二次構造)で決められる。

真正細菌では SecIS は mRNA の翻訳領域内、目的とする UGAコドンのすぐ次に位置している。古細菌真核生物では SecIS は mRNA の 3' 非翻訳領域にあり、複数の UGAコドンにセレノシステインをコードさせることができる。また古細菌では 5' 非翻訳領域に SecIS がある例が少なくとも1つ知られている。セレンがない場合には、セレノプロテインの翻訳は UGAコドンで終止し、短くて機能のないタンパク質ができる。

他のアミノ酸と同じくセレノシステインに対しては特有の tRNA がある。しかしセレノシステインtRNA (tRNA(Sec)) の一次・二次構造は標準的な tRNA といくつかの点で異なり、特に8塩基対(細菌)または9塩基対(真核生物)からなる acceptor stem、長い variable region arm、また他の tRNA ではよく保存されているいくつかの塩基における置換がある。

tRNA(Sec) は、まずセリルtRNA合成酵素によってセリンと結合されるが、これによってできる Ser-tRNA(Sec) は普通の翻訳伸長因子(細菌の EF-Tu、真核生物の EF1α)に認識されないため、翻訳に用いられない。その代わり tRNA に結合したセリン残基はセレノシステイン合成酵素(ピリドキサールリン酸を含む酵素)によってセレノシステイン残基に変換される。最後にこうしてできた Sec-tRNA(Sec) は特殊型の翻訳伸長因子(SelB または mSelB)に特異的に結合し、これはセレノプロテインの mRNA を翻訳中のリボソームを標的にして Sec-tRNA(Sec) を送り込む。この輸送は、セレノプロテイン mRNA内の SecIS のつくる RNA二次構造に結合するタンパク質中の特別のドメイン(細菌の SelB)、または、特別のサブユニット(真核生物mSelB の SBP-2)によって行われる。

出典

  1. ^ Merck Index, 12th Edition, 8584
  2. ^ Huber, R. E.; Criddle, R. S. (1967-10-01). “Comparison of the chemical properties of selenocysteine and selenocystine with their sulfur analogs”. Archives of Biochemistry and Biophysics 122 (1): 164–173. doi:10.1016/0003-9861(67)90136-1. ISSN 0003-9861. PMID 6076213. https://dx.doi.org/10.1016/0003-9861%2867%2990136-1. 
  3. ^ Thapa, Bishnu; Schlegel, H. Bernhard (2016-11-10). “Theoretical Calculation of p K a 's of Selenols in Aqueous Solution Using an Implicit Solvation Model and Explicit Water Molecules” (英語). The Journal of Physical Chemistry A 120 (44): 8916–8922. Bibcode2016JPCA..120.8916T. doi:10.1021/acs.jpca.6b09520. ISSN 1089-5639. PMID 27748600. https://pubs.acs.org/doi/10.1021/acs.jpca.6b09520. 
  4. ^ Nomenclature and Symbolism for Amino Acids and Peptides”. IUPAC-IUB Joint Commission on Biochemical Nomenclature (1983年). 2008年10月9日時点のオリジナルよりアーカイブ。2018年3月5日閲覧。

関連項目



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