サチン・テンドルカールとは? わかりやすく解説

サチン・テンドルカール

(Sachin Tendulkar から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/04/01 04:27 UTC 版)

 サチン・テンドルカール 
個人情報
本名 Sachin Ramesh Tendulkar
生誕 (1973-04-24) 1973年4月24日(51歳)
インドムンバイ
愛称 リトルマスター、テンドリャ[1]、 ブラスター[2]、マスタブラスター[3][4]、リトルチャンピオン[5]
身長 5 ft 5 in (1.65 m)
打撃スタイル 右打ち
投球スタイル 右投げ レッグスピン / 右投げ オフスピン
守備位置 バッター
代表情報
代表 インド
初テスト(cap 187) 1989年11月15日 対 パキスタン
最新テスト 2013年11月14日 対 西インド諸島
初ODI(cap 74) 1989年12月18日 対 パキスタン
最新ODI 2012年3月18日 対 パキスタン
ODI背番号 10
初T20I(cap 11) 2006年12月1日 対 南アフリカ
所属チーム
チーム
1988 クリケット・クラブ・オブ・インディア
1988–2013 ムンバイ
1992 ヨークシャー
2008-2013 ムンバイ・インディアンズインド・プレミアリーグ
選手成績
試合 テスト ODI FC LA
出場試合 200 463 310 551
得点 15,921 18,426 25,396 21,999
打率 53.78 44.83 58.84 45.54
100s/50s 51/68 49/96 81/116 60/114
最高得点 248* 200* 248* 200*
アウト数 4,240 8,054 7,605 10,230
ウィケット 46 154 71 201
防御率 54.17 44.48 61.74 42.17
1イニング5ウィケット 0 2 0 2
1試合10ウィケット 0 0 0 0
最優秀投手成績 3/10 5/32 3/10 5/32
捕球/スタンピング 115/– 140/– 186/– 175/–
出典: [1] - 2019年7月10日時点

サチン・ラメシュ・テンドルカール(Sachin Ramesh Tendulkar、マラーティー語: सचिन रमेश तेंडुलकर 、1973年4月24日 - )は、インドマハーラーシュトラ州ムンバイ出身の元プロクリケット選手。右投右打。バッター[注 1]。様々な大記録を達成しているその業績からクリケットの神様(God of Cricket)とも評されている[6]。元インド連邦議会上院議員。マザー・テレサも受賞歴のあるバーラト・ラトナ賞をスポーツ選手として初受賞。

概要

テンドルカール(左)は2016年、インドを訪問中のイギリス王室ウィリアム王子夫妻とクリケットをした[7]

クリケットの長い歴史の中でも最も偉大な選手の一人とみなされている。テスト・クリケットで史上最多の通算15,921得点(ラン)、ODI(ワン・デイ・インターナショナル)方式で史上最多の通算18,426得点を記録。テストとODIの合計で3万得点を越えている世界で唯一の人物である。また最高峰の世界選手権に位置づけられているクリケット・ワールドカップで史上最多の通算2,278得点。1試合100得点以上のセンチュリー (クリケット)がテストで史上最多の通算51回、ODIで史上最多の通算49回であり、合計で100回を記録した。1989年に弱冠16歳でインド代表としてテストとODIデビュー。2013年に40歳で現役を引退した[8]

2002年にクリケットのバイブルとして知られるウィズデン・クリケッターズ・アルマナックによって、歴代でドナルド・ブラッドマンに次ぐ2番目に偉大なテストバッター、ODIバッターにおいてもヴィヴ・リチャーズに次ぐ2番目に偉大な選手と評価された[9]。キャリア晩年や引退後の評価では、ブランドマンやリチャーズを上回り、史上最高のバッターとの評価を受けることも多い[10][11]。2010年にアメリカのタイム誌によって、世界で最も影響力のある100人に選出された[12]。2013年にウィズデン・クリケッターズ・アルマナックによって、150年間の歴代ワールドイレブンに選出された[13]

国民からも大変な尊敬を受けており、2014年にはマザー・テレサも受賞歴のあるインドにおいて民間人を讃える褒章としては最高の栄典であるバーラト・ラトナ賞を受賞[14]。ほかにもインドスポーツ界において最高栄誉であるラジーヴ・ガンディー・ケール・ラトナ賞英語版等受賞した[15]X(旧Twitter)公式アカウントのフォロワー数は4000万を超えており、世界のスポーツ選手の中でクリスティアーノ・ロナウドヴィラット・コーリネイマールレブロン・ジェームズに次いで5番目に多い(2024年現在)[16]

略歴

兄の紹介によりクリケットをはじめ、11歳でカンガクリケットリーグ英語版でクリケット選手としてデビュー、1989年11月5日、16歳でパキスタンとのテストマッチでインド代表としてデビューを果たすと、その後主に、ムンバイクリケットチーム英語版インド代表として活躍していた。インド代表としては2011年にクリケットワールドカップの決勝でスリランカを破り優勝した。2013年にクリケット界から引退。2019年にはICCクリケット殿堂英語版入りした。

経歴

1973年、大学の教師をしていた作家で詩人のラメッシュ・テンドゥルカルと、保険業界で働いていた母ラジニの間に生まれた。父の好きだった作曲家サチン・デヴ・バーマンにちなんで命名された。9歳のとき、学校のチームでクリケットを始めた。彼のコーチは、サチンがボールを強く打つことを好むと認識していたため、バッツマンとして起用された。11歳で1イニング50ランを記録し、翌年のインド学校選手権ハリス・シールドで初のセンチュリーを達成した。13歳のとき、学校対抗戦で2336ランを記録し、その中には数々のセンチュリー跨ぎや2度のダブルセンチュリー(1イニング200ラン)も含まれていた。これがボンベイのセレクターの目に留まり、1987年11月14日にテンドルカルをトレーニングに招いた。その後、時々チームの代役として起用されたが、当初はレギュラー選手ではなかった。

代表経歴

1999クリケットワールドカップ

1999年のクリケット・ワールドカップの最中に、テンドルカールの父が死去し、父の最後の儀式に出席するためインドに戻り、ジンバブエとの試合を欠場した。しかし、復帰したクリケットケニア代表英語版との試合では16本のバウンダリーと3本のシックスを放ち101球で140ランを記録し、父親に捧げるセンチュリーを達成した。

2003クリケットワールドカップ

2003年のクリケット・ワールドカップでは11試合に出場、673ラン2ウィケットを記録し 、インドの決勝進出に貢献した。大会はオーストラリアが優勝したが、テンドルカールは大会最優秀選手賞を受賞した。

2007クリケットワールドカップ

テンドルカールとラーフル・ドラヴィド率いるインドクリケットチームは散々な結果に終わった。大会前からスランプだったテンドルカールはバングラデシュ戦では7得点、スリランカ戦では0得点しか得点できず、インド代表はグループステージ敗退を喫した。その結果、元オーストラリア代表キャプテンのイアン・チャペル英語版は、新聞のコラムでテンドルカールに引退を求めた。

バングラデシュ戦とスリランカ戦の敗戦後、テンドゥルカルはうつ病を患い、クリケットから引退しようと考えたが、ヴィヴ・リチャーズとアジット・テンドゥルカルがそれを止めた。テンドルカールによると、2007年3月23日、バングラデシュ戦の敗戦は彼のクリケット人生で最悪の日のひとつだという。

2011クリケットワールドカップ

2011クリケットワールドカップではテンドルカールは9試合で合計482ランを記録し、インド代表は2度目となる優勝を果たした。

プレイスタイルとキャリア統計

テンドルカールはクロスドミナンスであり、バッティング、ボウリングは右手で使うが、ペンなどを書くときは左手で使う。ESPNcricinfoのとあるコラムニストは彼のことを「同時代で最も健全なバッツマン」と評している。彼のバッティングは、不必要な動きや派手さを抑えながら、完全なバランスと冷静さに基づいており、クリケット史上最高の選手と称されるドナルド・ブラッドマンとスタイルが似ている。南アフリカやオーストラリアなどの硬くて弾むクリケットピッチで何度もセンチュリーを達成している。また、絵に描いたような完璧なストレートドライブ(野球でいうセンター返しのようなもの)でも有名である。

国際試合でのセンチュリー統計
テスト ODI 合計
 オーストラリア 11 9 20
 スリランカ 9 8 17
 南アフリカ共和国 7 5 12
 イングランド 7 2 9
 ニュージーランド 4 5 9
 西インド諸島 3 4 7
 ジンバブエ 3 5 8
 パキスタン 2 5 7
 バングラデシュ 5 1 6
 ケニア - 4 4
 ナミビア - 1 1
合計 51 49 100
テスト・クリケットでの成績[17]
  試合 累計ラン 最高得点 打率 100s 50s
ホーム 94 7216 217 52.67 22 32
アウェイ 106 8705 248* 54.74 29 36
国際試合での成績
  試合 勝利 敗北 引き分け 同点 無結果
テスト[18] 200 72 56 72 0
ODI[19] 463 234 200 5 24
T20I[20] 1 1





エピソード

  • アニメ「スーラジ ザ・ライジングスター」では主人公が入団するムンバイ・チャンピオンズの主将サミールのモデルになった[21]
  • 100mの世界記録保持者であるウサイン・ボルトは、少年時代に憧れていたクリケット選手としてテンドルカールを挙げている[22]。ボルトは「私はクリケットで育った。父親がクリケットの大ファンであり、今もそうだ。クリケットは私の血の中にずっと流れている。」と語った[23]

栄典

インド政府

ムカルジー大統領からバーラト・ラトナ賞を授与されるテンドルカール。2014年2月、インド大統領官邸ラシュトラパティ・バワンにて
  • 1994 - アルジュナ賞英語版:インドのスポーツ界における栄誉賞
  • 1997-98 - ラジーヴ・ガンディー・ケール・ラトナ賞英語版:インドのスポーツ界における最高栄誉賞
  • 1999 - パドマ・シュリー勲章:インドの民間人に贈られる四番目に格式がある勲章
  • 2008 - パドマ・ヴィブーシャン勲章英語版:インドの民間人に贈られる二番目に格式がある勲章
  • 2014 - バーラト・ラトナ賞:インドの民間人に贈られる最も格式がある勲章

インド地方政府

画像

脚注

  1. ^ Bal, Sambit. “Sachin Tendulkar — Cricinfo Profile”. Cricinfo. 2007年12月14日閲覧。
  2. ^ Sachin Tendulkar: Bio, Facts”. Celebrity Bio, Facts. 2017年5月30日閲覧。
  3. ^ Arora, Nishant. “India will need Sachin for next 2-3 years: Srikkanth: Cricket Next”. Cricketnext.in.com. 2008年11月27日閲覧。
  4. ^ Despite the loss of ageing stars, India is on the brink of a golden era”. Theage.com.au. 2008年11月27日閲覧。
  5. ^ Oct 18, 2008 (2008年10月18日). “AFP: Tendulkar a special talent, says Gavaskar”. Afp.google.com. http://afp.google.com/article/ALeqM5g1GRbImnh5S88rDMiES1YDRgx9yw 2008年11月27日閲覧。 
  6. ^ Sachin Tendulkar, India’s ‘God of Cricket,’retires Washington Post 2019年7月7日閲覧。
  7. ^ Sachin Tendulkar meets Kate Middleton, Prince William in Mumbai The Indian Express 2023年9月22日閲覧。
  8. ^ November 16, 2013: The end of the Sachin Tendulkar era India Today 2019年7月7日閲覧。
  9. ^ en:Wisden_100#All-time_lists
  10. ^ Sachin Tendulkar better than Don Bradman, new study shows The Weekend Australian 2019年7月7日閲覧。
  11. ^ Sachin Tendulkar greater than Don Bradman: Study India Today 2019年7月7日閲覧。
  12. ^ The 2010 TIME 100 Time 2019年7月7日閲覧。
  13. ^ WG Grace and Shane Warne in Wisden all-time World Test XI BBC. 2020年6月20日閲覧。
  14. ^ C.N.R. Rao, Sachin conferred Bharat Ratna The Hindu 2019年7月8日閲覧。
  15. ^ List of Rajiv Gandhi Khel Ratna Awardees Rajiv Gandhi Khel Ratna 2019年7月8日閲覧。
  16. ^ Virat Kohli Surpasses Neymar In A Historical Feat; Eyes Cristiano Ronaldo's Tally OneCricket 2024年9月21日閲覧。
  17. ^ Statistics / Statsguru / Sachin Tendulkar/Test Cricket”. ESPNcricinfo. 2015年9月20日時点のオリジナルよりアーカイブ。2015年4月25日閲覧。
  18. ^ “List of Test victories”. ESPNcricinfo. オリジナルの2014年1月19日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20140119022911/http://stats.espncricinfo.com/ci/engine/stats/index.html?class=1%3Bfilter%3Dadvanced%3Borderby%3Dmatches%3Bresult%3D1%3Btemplate%3Dresults%3Btype%3Dbatting 2012年4月25日閲覧。 
  19. ^ “List of ODI victories”. ESPNcricinfo. オリジナルの2013年10月31日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20131031110547/http://stats.espncricinfo.com/ci/engine/stats/index.html?class=2%3Bfilter%3Dadvanced%3Borderby%3Dmatches%3Bresult%3D1%3Btemplate%3Dresults%3Btype%3Dbatting 2012年4月25日閲覧。 
  20. ^ “List of T20I victories”. ESPNcricinfo. オリジナルの2013年10月31日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20131031110603/http://stats.espncricinfo.com/ci/engine/stats/index.html?class=3%3Bfilter%3Dadvanced%3Borderby%3Dmatches%3Bresult%3D1%3Btemplate%3Dresults%3Btype%3Dbatting 2012年4月25日閲覧。 
  21. ^ 作品自体が「巨人の星」を基にしており、テンドルカールは長嶋茂雄に相当する
  22. ^ Usain Bolt sends bold 'standout Virat Kohli' message to T20 WC title contenders, compares India star to Sachin, Akram Hindustan Times 2024年9月22日閲覧。
  23. ^ Cricket is in my blood, T20 is perfect form: Usain Bolt Hindustan Times 2024年9月22日閲覧。
  24. ^ List Of Indian Cricketers Who Own Private Jet ETV Bharat 2024年9月23日閲覧。

注釈

  1. ^ 以前は男子バッターをバッツマン、女子バッターをバッツウーマンと呼んでいたが、国際クリケット評議会やクリケットの競技規則を管理するメリルボーン・クリケット・クラブは、ジェンダー平等の観点によって、性別を問わず公式にバッター(batter)と呼ぶことに変更した。
  2. ^ 1インドルピーを1.7円に換算した場合

外部リンク





固有名詞の分類


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「サチン・テンドルカール」の関連用語

サチン・テンドルカールのお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



サチン・テンドルカールのページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのサチン・テンドルカール (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2025 GRAS Group, Inc.RSS