SF小説好き
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/02 10:19 UTC 版)
三島は、当時ブームになっていた推理小説に対しては全面否定し(エドガー・アラン・ポーだけは例外)、〈文学〉とは認めていなかったが、SF小説には強い愛着を持ち、その手法に関心を寄せながら、〈近代ヒューマニズムを完全に克服する最初の文学はSFではないか〉と考えていた。アーサー・クラークの『幼年期の終り』なども愛読し、〈随一の傑作と呼んで憚らない〉と評している。 また、幼年の頃に大好きだった『ジャックと豆の木』に思いを馳せつつ、SF小説を好きな理由を、「推理小説などとちがつて、それは大人の童話だからだ」と語っている。 われわれは子供の幸福を失つて久しい。周囲の事物に対する子供の新鮮な好奇心に接すると、私はときどき妬ましくなる。大人の世界は何と退屈なことだらう。すべての事物が何と瀕死の姿をしてゐることだらう。身すぎ世すぎに忙しく暮してゐるが、「お忙しいでせう」などといふ、ぞつとするやうな世俗的挨拶の世界から、私は又あわてて逃げ出してこの子供部屋へ身を隠すのである。 — 三島由紀夫「こども部屋の三島由紀夫――ジャックと豆の木の壁画の下で」
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