ドネツィク国立工科大学
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| Донецький національний технічний університет | |
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| 設立年 | 1921年 |
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| 所在地 | リヴィウ州ドロホブィチ[1](ウクライナ側) ドネツィク(ロシア側) |
| 公式サイト | donntu donntu |
ドネツィク国立工科大学(ドネツィクこくりつこうかだいがく、宇: Донецький національний технічний університет、露: Донецкий национальный технический университет、略称:宇: ДонНТУ、英: DonNTU )は、ウクライナの国立大学。1921年にドネツィクに鉱山技師養成のための学校として開校し、ドネツィク地方で最も歴史があり最大規模の大学として、地域の技術者養成に貢献した。
ウクライナ紛争の発生とその後のロシア軍の介入により、ドネツク人民共和国がドネツィクを掌握した。以後、ウクライナ政府下で運営が継続している大学組織と、ドネツィクに残りロシア管理下で運営されている組織で事実上分裂した。
沿革
ソビエト期
ソビエト・ウクライナ戦争で荒廃したドネツィク地方の鉱工業の復興と鉱山技師の養成を目的とし、1921年にドネツィク鉱山技術学校として開校した[2]。
1920年代から1930年代にかけて、ソビエトの五カ年計画に合わせて鉱工業の生産拡大の要請を受け、ドネツィク石炭化学研究所( Донецкий углехимический институт)、ドネツィク冶金研究所( Донецкий металлургический институт)が設置された[3]。1935年、3つの組織が統合されてドネツィク工業大学となった[3]。
1941年、独ソ戦が始まり、ドネツィクがドイツ国防軍に占領されると、大学はプロコピエフスクへ移転した[2][注釈 1]。1943年9月にドネツィクがソビエトに復帰すると大学の復旧作業も始まり、翌1944年にドネツィクに復帰した[2][注釈 2]。
1948年に工業科の教員養成コースと土木工学科が設置、1959年には電気工学科が設置された[3]。また1952年からポーランドやハンガリー、チェコ、ベトナムなど社会主義陣営の国から留学生を受け入れるようになった[3]。
1960年に、ドネツィク工科大学と改名した[2]。経営学や生産技術、化学技術などの学科が新たに設置された。この頃、学生数は約8,300人であった[3]。
ウクライナ独立後
1991年のウクライナ独立後、新たな体制に合わせて大学制度で再編された。1993年にドネツィク国立工科大学として政府より、国立工科大学を承認された[2]。情報技術、経営学、環境工学などが設置された。2001年にウクライナ政府より国立大学として承認された[2]。
ドンバス戦争後
2014年、イーゴリ・ギルキンなど親ロシア勢力が武力蜂起を起こし[4]、4月にドネツク人民共和国が独立を宣言した( ドンバス戦争)。これに対してウクライナ側が反撃を行い、ドネツク州内での混乱が続くなか、7月5日に親ロシア側の武装集団によって大学のキャンパスの一部が占拠された[1][注釈 3]。10月3日に、ウクライナ科学教育省が大学のポクロウシクへの移転を決定した[1][2]。
ドイツ学術交流会から奨学金資金の提供、USAIDから設備整備などの支援をうけた[4]。一方で、移転により入学志願者が減少した冶金学などが募集を停止した[4]。2013年の学生数18,000名であったが2016年には4,000名に、また2013年に82学科あったものが、2016年には27学科に減少した[1]。
2021年5月27日、ポクロウシクのシバンコフ広場で創立100周年記念式典が開催された[6]。
2022年2月24日にロシアのウクライナ侵攻が起こると、ポクロウシクにあった大学施設が砲撃を受けた[1][注釈 4]
4月にルーツィクへ移転が決定した[1]。しかしルーツィクでは、研究施設および学生のための施設が確保が難しく、また誘致のあったポーランド国境に近いドロホブィチへ2024年に再移転した[1]。
紛争が原因ではあるが繰り返されたキャンパス移転で、教職員や研究者の減少という人的損失を招いた[7]。調査によると辞職の理由は、「移住せずロシア勢力下のドネツィク残留」「ウクライナ国内の他の教育機関や海外の教育機関へ移籍」「個人的事情」などであり、移転に従った教員でも現状に不満を持つ者がほとんどである[7]。
2024年の時点で、学生数は1,180名、学科は16学科、教授職は23名である[1]。
ドネツク人民共和国およびロシア側の主張
2014年、親ロシア勢力が独立を主張したドネツク人民共和国は大学施設に残った親ロシア派支持の教員を支援し、ドネツィクでの大学運営が継続していることを主張した。
支援の一環として大学構内にフーコーの振り子が製作され、2018年には振り子の披露式典を実施した[8][注釈 5]
ロシア側に残った大学関係者はインタビューで、2022年の夏から、ウクライナ軍からドネツィクのキャンパスに対して155mm砲弾による砲撃とHIMARSによる攻撃を受けたと主張している[5]。 これら攻撃により建物群に甚大な被害がでたが、死傷者はいないとしている[5]。
9月30日に、ドネツク人民共和国がロシア連邦への併合が宣言されると、ロシア科学・高等教育省の管轄となった[10]。ロシア政府はドネツィク国立工科大学の教育プログラムを認可し、卒業生に対してロシア政府に認められた卒業証明を受け取れるようになったと発表した。
主な卒業生
脚注
注釈
出典
- ^ a b c d e f g h 国立ドネツク工科大学の状況を通して観たウクライナ.
- ^ a b c d e f g Історія університету » ДонНТУ.
- ^ a b c d e О ДонНТУ.
- ^ a b c Donbas News 2023-02-28.
- ^ a b c d Forpost North-West,2023-02-06.
- ^ pokrovsk news 2021-05-28.
- ^ a b A university displaced twice.
- ^ Ученые Донецкого политеха запустили первый в Донбассе маятник Фуко.
- ^ ДНР 2018 год. Донецкий технический университет. Маятник Фуко, 1 БЛОК.
- ^ DONETSK NEWS AGENDY 2023-02-21.
参考文献
ウクライナ
- “Історія університету » ДонНТУ”. 2025年12月18日閲覧。
- “国立ドネツク工科大学の状況を通して観たウクライナ” (pdf). 2025年12月18日閲覧。
- “Дважды переселенцы: Как работает Донецкий национальный технический университет на Волыни”. Donbas News (2023年2月28日). 2025年12月18日閲覧。
- “ДонНТУ масштабно отпраздновал вековой юбилей”. pokrovsk news (2021年5月28日). 2025年12月18日閲覧。
- Oksana Zakharova, Larysa Prodanova. A university displaced twice: Irreversible and erroneous losses of human capital. doi:10.21511/ppm.21(2-si).2023.15.
ドネツク人民共和国(ロシア)
- “О ДонНТУ”. 2025年12月18日閲覧。
- “Federal bodies to administer about half of DPR research centers, universities” (英語). DONETSK NEWS AGENCY (2023年2月21日). 2025年12月18日閲覧。
- “«И все-таки она вертится»: Ученые Донецкого политеха запустили первый в Донбассе маятник Фуко” (ロシア語). 2025年12月3日時点のオリジナルよりアーカイブ。2025年12月18日閲覧。
- “Купить ДНР 2018 год. Донецкий технический университет. Маятник Фуко, 1 марка в СПБ, Москве и по всей России” (ロシア語). 2025年12月3日時点のオリジナルよりアーカイブ。2025年12月18日閲覧。
- “Донецкий технический: Восстанавливаем разрушенные корпуса, продолжаем учебный процесс и работаем на будущее”. Форпост Северо-Запад (2023年2月6日). 2026年1月30日閲覧。
- ドネツィク国立工科大学のページへのリンク