プジョー・206 WRC
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| カテゴリー | FIA ワールドラリーカー | ||||||
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| コンストラクター | プジョー | ||||||
| デザイナー | ミシェル・ナンダン | ||||||
| 先代 | プジョー・306 Maxi キットカー | ||||||
| 後継 | プジョー・307 WRC | ||||||
| 主要諸元 | |||||||
| サスペンション(前) | マクファーソンストラット | ||||||
| サスペンション(後) | マクファーソンストラット | ||||||
| 全長 | 4,005 mm | ||||||
| 全幅 | 1770 mm | ||||||
| ホイールベース | 2,486 mm | ||||||
| エンジン | 2.0 L 直列4気筒 ターボ 横置き | ||||||
| トランスミッション | Xトラック
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| 重量 | 1,230 kg | ||||||
| タイヤ | ミシュラン | ||||||
| 主要成績 | |||||||
| チーム | |
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| ドライバー | |||||||
| コンストラクターズタイトル | 3(2000,2001,2002) | ||||||
| ドライバーズタイトル | 2(2000,2002) | ||||||
| 初戦 | |
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| 初勝利 | |
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| 最終勝利 | |
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| 最終戦 | |
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Peugeot 206 WRCは、フランスの自動車メーカーであるプジョーが開発したワールドラリーカー。
概要
1990年代後半は前輪駆動+自然吸気エンジンの「306 Maxi キットカー」で2リッターカップやフランス国内選手権のラリー活動を行ってきたプジョーだが、1999年から206をベースとした本格的な4WD+ターボエンジンのWRカーである『206 WRC』を投入することとなった。
技術
製作にあたって開発陣はF2キットカーからの306をベース車両に継続することを希望していたが[1]、経営陣がモデル末期の306では販売促進の意味がないと却下したため[1]、経営戦略上強引に206が選ばれた。当時F1に注力しており、ラリー部門はカスタマーサポートのみの小規模部署で半ば閑職のようになっており、306キットカーもほぼ外注であった当時のプジョーが、WRCに復帰する上での最大の条件であった[2]。
コンパクトなボディに4WDターボを収めるのは当時の技術や規則上難しく[注 2]、挙動もナーバスになりやすかったが[1]、プジョーの開発陣はミシェル・ナンダンの指揮の下に完遂。Bセグメントハッチバックボディの慣性マスの集中化をしやすい点や、基本重量が軽い点がむしろメリットとなり、後に「プジョーが独走できたのはFIAが206を許可したせいだ」という声も聞かれるほどであった[1]。なおベース車両はWRカーの最低全長(4,000 mm)よりも短かったが、大型バンパーを装着したエボリューションモデルであるGTを4,000台量産してFIAに認めさせた[注 3][1]。この時ホイールベースの1%を超える延長もFIAに許可を求めたが、これは却下されている[3]。その結果ホイールベースは全車中ヒュンダイ・アクセントに次ぐ短さで、前後オーバーハングはフォーカスと同じ短さであった[3]。
206 WRCでは、後期進化型(特に2002年 ホモロゲーション版以降)において、上部ウィングの上面に垂直スリット(縦フィン/エンドプレート補助のような小翼)を複数設けた“二段ウィング”風の構成が採用された[4]。
この構成は、単純な一枚翼構成よりも以下のような空力上のメリットを狙ったものである[5]:
主翼+補助翼という複数の翼段を用いることで、下段翼と上段翼の間に”ギャップ(隙間)”を設け、上段翼の後方流速を抑えすぎず、下段翼下面からの吸着を維持しやすくすることで、揚力効率(この場合はダウンフォース効率)を改善
上段翼の縦フィン(スリット形状の仕切り板、またはガーニーフラップ併設形)を用いることで、翼端渦の発生を抑制し、翼端流れによる空気の巻き込みを制御
コーナリング時の横風条件下での横力制御性(スラスト方向の安定性、後輪安定性)向上を狙った “サイドフォース補助効果” を期待
206 WRC における 2002年 ホモロゲーション以降には、「上段主翼の後縁に縦方向の複数小フィンを立てる改良」が確認されており、これが「横方向の安定性を高め、コーナリング時のリアの食いつきを改善」する改良と解されている。また、この改良は、高速域性能(抗力を過度に増やさずにダウンフォースを稼ぐ)を維持しつつ、コーナリング域での応答性を高める設計狙いがあったと見られている。ただし、このような多重翼構成には設計および実装上のトレードオフも存在する。
ギアボックスは01年のキプロスで試験的に導入以降は豊富なエンジントルクを活かし、ライバルが6速のところを5速にして軽量化。しかし車体がコンパクトすぎるせいでギヤボックスが収まりきらず、フォード・フォーカスWRCと同様に横置きエンジン縦置きミッションを採用し、これが結果的にハンドリングの良さに繋がっている[2]。また当時空力面で先行していた事の有利さが速さにつながったと、当時ライバルメーカー側の設計者クリスチャン・ロリオーは当時を回想している。
エンジンはスーパーツーリング規定のツーリングカーレースで活躍していた406と同じXU9J4。これの排気量を拡大しギャレット製ターボを装着して、306キットカー同様ピポ・モチュールがチューニング[6]。しかし、XU9エンジンのホモロゲーションは02年で切れたことから、FIAはプジョーに対しエンジン本体の新規のホモロゲーションの禁止を通達した。デフは前後中アクティブ化されたものを装着し[6]、ギアボックスは00年の途中まではXTrac製6速シーケンシャルミッションだったが、00年のフィンランドから6速セミAT化され、01年のキプロスでグロンホルムとロバンペッラ車以降は軽量化と信頼性向上を狙って5速に留めたセミAT[6]。アクティブ化された足回りは前後マクファーソン・ストラット式サスペンションで、全ワークスチーム中唯一ダンパーは自社製となっている[6]。タイヤは当時評判の高かった、同郷のミシュランタイヤを履く[3]。
戦歴
初年度となる1999年はスポット参戦。マイナートラブルに見舞われるも、デビュー戦ツール・ド・コルスでフランソワ・デルクールが4位(WRカー勢では2位)、ジル・パニッツィがイタリアで2位を獲得し、台頭を予感させた。
F1からリソースを取り戻してフル参戦を開始した2000年からは快進撃が始まり、3年連続マニュファクチャラーズタイトルを獲得し、グループB時代を彷彿とさせるような黄金時代を築いた。ドライバーズタイトルもマーカス・グロンホルムが2000年、2002年の2回獲得した[注 4][7]。2002年は群雄割拠の中で14戦8勝(勝率6割)、しかもその全てが1-2フィニッシュという強さだった[3]。
しかし2003年に信頼性の高いシトロエン・クサラが投入されると、序盤こそグロンホルムが3勝を挙げるも、後半から新型パーツによるメカニカルトラブルが頻発し、タイトル防衛は叶わなかった。2004年以降は307 WRCに後を譲り、206 WRCは役割を終えた。
脚注
注釈
- ^ アクティブ化の有無は同年式でも車体によって異なる。
- ^ 全幅は当時の規則上の最大値として許された1,770 mmだが、末期WRカーより50 mmほど短かった。
- ^ この手法は後にシュコダもファビアWRCで真似することになる。
- ^ 2001年は序盤にグロンホルムのミスや信頼性不足によるメカニカルトラブルが相次ぎ、各陣営のエース4人による混戦で、誰が王者になってもおかしくない状況であった。またマニュファクチャラーズ防衛という点では、スポット参戦で速さを見せたシトロエン・クサラが規則により賞典外とされたのも大きかった。しかし一番の要因は、エース頼りの他陣営とは異なり、マシンにマッチする優れたドライバーを二人揃えられたことであった。
出典
- ^ a b c d e 三田 2003, p. 12.
- ^ a b 三田 2003, p. 13.
- ^ a b c d 三田 2003, p. 15.
- ^ “WRC Wings”. WRCWings (2024年12月23日). 2025年10月10日閲覧。
- ^ “Optimization of Inverted Double-Element Airfoil in Ground Effect using Improved HHO and Kriging Surrogate Model”. arXiv (2023年11月7日). 2025年10月10日閲覧。
- ^ a b c d 三田 2003, p. 14.
- ^ 『RACE CARマガジン AUTOSPORT』第1572号、三栄書房、2022年4月28日、[要ページ番号]、国立国会図書館サーチ:R100000002-I000000000058-i30918860。
参考文献
- 三田正二「最強マシン列伝」『Racing On』第363巻、三栄書房、2003年2月、12-15頁。
関連項目
- プジョー・206 WRCのページへのリンク