12 故郷への長い下降
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/02 01:18 UTC 版)
「宇宙島へ行く少年」の記事における「12 故郷への長い下降」の解説
重力が3分の1のフロアには、多くの人々が集まってきた。地球連絡船は、それまででロイが乗った最大の宇宙船だった。発進とともに居住ステーションは、たちまち小さくなっていった。船は地球に船首を向けた。まだ赤道の上空500マイルにあるが、これから徐々に高度を下げて、30分もすれば大気圏に入る。例の3人組に対してロイは説明した。「あれが、火星も浮かべられる太平洋。あれは熱帯暴風雨」。やがて空気のうなりが聞こえてきた。宇宙船はいまや飛行機になり、インド洋の上を飛んでいた。やがて夜のとばりの中に、ニューギニアの宇宙港が見えてきた。着陸はあっけないものだった。重力に打ち勝とうとしている3人組に、すぐに火星と同じように跳び回れるよ、とロイはやさしく声をかけた。そのうちの1人が空を見上げた。ロイもステーションを探そうとしたが、いまは地球の影に隠れている。空を見ていた火星の子供が、赤い星を示して言った。「あれが故郷だ」。ロイの心は、宇宙ステーションを通り越して、赤い星に向かうのだった。
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