高階の偏微分
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/19 04:41 UTC 版)
偏微分を繰り返して行うことにより得られる微分係数のことを高階の偏微分係数という。これは微分の階数について帰納的に定義される。 たとえば f(x1, …, xn) の点 a = (a1, …, an) における2階偏微分係数 ∂ 2 f ∂ x j 1 ∂ x j 2 ( a ) {\displaystyle {\frac {\partial ^{2}f}{\partial x_{j_{1}}\partial x_{j_{2}}}}(a)} は次のように定義される。前提として、導関数 ∂f/∂xj2 が存在するものとする。この仮定のもとで、 ∂f/∂xj2 が点 a において xj1 に関して偏微分可能ならば、その偏微分係数のことを上記の記号で表すのである。∂f/∂xj2 があらゆる点 a において xj1 に関して偏微分可能であるとき、点 a に上記の2階偏微分係数を対応づける関数のことを、 ∂ 2 f ∂ x j 1 ∂ x j 2 {\displaystyle {\frac {\partial ^{2}f}{\partial x_{j_{1}}\partial x_{j_{2}}}}} と書いて2階偏導関数とよぶ。同様のことを繰り返して、一般の k 階偏微分係数 ∂ k f ∂ x j 1 ∂ x j 2 ⋯ ∂ x j k ( a ) {\displaystyle {\frac {\partial ^{k}f}{\partial x_{j_{1}}\partial x_{j_{2}}\dotsb \partial x_{j_{k}}}}(a)} および k 階偏導関数 ∂ k f ∂ x j 1 ∂ x j 2 ⋯ ∂ x j k {\displaystyle {\frac {\partial ^{k}f}{\partial x_{j_{1}}\partial x_{j_{2}}\dotsb \partial x_{j_{k}}}}} が定義される。 微分の順序交換については次が知られている。2変数関数 f(x, y) について、2階偏導関数 ∂2f/∂x∂y, ∂2f/∂y∂x がともに存在して、さらにいずれも点 a において連続ならば、 ∂ 2 f ∂ x ∂ y ( a ) = ∂ 2 f ∂ y ∂ x ( a ) {\displaystyle {\frac {\partial ^{2}f}{\partial x\,\partial y}}(a)={\frac {\partial ^{2}f}{\partial y\,\partial x}}(a)} が成立する。2階偏導関数の連続性の仮定が満たされなければこの等式は一般には成立しない。n 変数関数の微分の順序交換についても同じことがいえる。
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