養液内での有機成分の無機化
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/29 06:17 UTC 版)
「有機養液栽培」の記事における「養液内での有機成分の無機化」の解説
水の中に有機物を添加すると、容易にアンモニアまで分解する。しかし、多くの作物が好硝酸性植物のため、アンモニアが大量に存在する養液で栽培すると、カリウム吸収阻害などのアンモニア過剰障害が生じ、生育が悪化する。このため、作物の健全な栽培のためにはアンモニアから硝酸を生ずる硝酸化成を進めなければならない。だが、硝酸化成を行う硝化細菌は有機成分存在下で死滅しやすく、有機物の分解と硝酸化成を両立することが難しかった。野菜茶業研究所の技術では、有機物の水への添加を少量ずつ行う馴化培養の方法で硝化細菌の有機成分による死滅を回避し、有機態窒素を硝酸まで分解する。有機成分からアンモニアまでの分解、アンモニアから硝酸を生ずる硝化作用の二つの反応を同時に達成するこの方法は、日本酒醸造の並行複式発酵法にちなみ、並行複式無機化法という。並行複式無機化法により生じた硝酸は植物に速やかに吸収されるので、分解産物が滞留することなく、有機成分が分解され植物に吸収される動的平衡状態が成立する。
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