非酸素欠乏性の多血症
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/18 09:03 UTC 版)
前項で上げた低酸素症による赤血球増加は、エリスロポエチン産出細胞・腎組織そのものは正常であり、低酸素状態に対してエリスロポエチン産出細胞が正常に反応してエリスロポエチン産出を増加されることが原因であるが、エリスロポエチン産出細胞あるいは腎組織に異常があって(低酸素状態でもないのに)エリスロポエチン産出が亢進することがある。 腎癌、肝癌ではエリスロポエチン産出細胞の腫瘍的増加がみられることがある。また、子宮筋腫でも多血症が見られることがあるが、子宮の腫瘍化した平滑筋組織はエリスロポエチンもしくはそれに類似した物質を産出している可能性が指摘されている。また、例は少なく機序もはっきりとはしていないが、各種の腫瘍で多血が報告されることもあり腫瘍組織がなんらかでエリスロポエチンもしくは類似物質を作り出してしまうことがあるのではないかと考えられている。 また、腫瘍ではないが腎疾患による多血症も存在する。水腎症などでは腎組織に物理的な力がかかってかかり部分的に血液循環が滞り、そのためエリスロポエチン産出細胞は酸欠を感じてエリスロポエチンの産出を亢進させる。この場合、腎組織の一部以外は低酸素症ではなく、前述の全身に及ぶ低酸素症性赤血球増加とはことなる。腎臓移植患者では10-15%に多血症がみられるが、これも腎動脈狭窄によって腎臓の血液循環が滞ることによって腎の酸欠が起きると考えられている。
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