電荷移動錯体の色
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2018/12/27 02:14 UTC 版)
多くの金属錯体はd-d遷移により特有の色を持つ。可視光線から錯体に特有の波長の光を吸収するとd電子が励起される。この光の吸収により色が生まれる。この色は通常かなり弱い。これは選択則による。 スピン則: Δ S = 0 遷移の際、電子のスピンが変化するのは好ましくない。スピンが変化する反応はスピン禁制反応(英語版)と呼ばれる。 ラポルテの規則: Δ l = ± 1 対称中心を持つ錯体におけるd-d遷移は禁制である。これは「対称禁制」や「ラポルテ禁制」に相当する。 電荷移動錯体はd-d遷移を起こさない。したがってこれらの規則は適用されず、非常に強い吸収が見られる。 例えば、昔から知られているデンプンから形成される電荷移動錯体は青紫色になる。これは贋金の識別に利用された。アメリカの紙幣は普通の紙と異なりデンプンが含まれていなかった。そのため、もし紙幣をヨウ素溶液に浸して紫色になれば、それはデンプンが含まれている紙であるためニセ金と判断できた。
※この「電荷移動錯体の色」の解説は、「電荷移動錯体」の解説の一部です。
「電荷移動錯体の色」を含む「電荷移動錯体」の記事については、「電荷移動錯体」の概要を参照ください。
- 電荷移動錯体の色のページへのリンク