重金属排泄促進
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/07/09 02:23 UTC 版)
D-ペニシラミンは求核性の高いチオール基を持つため、銅、水銀、亜鉛、鉛などの重金属とキレート錯体を形成しやすい。チオール基は、別名、メルカプト基とも呼ばれるが、これは水銀との親和性が高いことに由来した名称である。また、D-ペニシラミン自体が極めて水溶性の高い分子であるため、このキレート錯体は水溶性であり、腎臓の糸球体での濾過を受けやすく、キレートした重金属原子の尿中への排泄を促すことができる。この結果、重金属の血中濃度が低下するために、組織中の重金属が血中に遊離しやすくなり、そうして遊離してきた重金属原子をも、D-ペニシラミンはキレートして尿中への排泄を促す。このため、鉛や水銀などの重金属中毒の解毒に使用される場合がある。 また、銅が異常蓄積する病態である肝レンズ核変性症(ウィルソン病)の治療に使用される場合がある。ただし、ウィルソン病の場合は、下記の副作用のためD-ペニシラミンが使用できない時は、トリエンチン(英語版)塩酸塩が使用される。ウィルソン病の場合は、この他に酢酸亜鉛水和物が投与されることもある。
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