重ね合わせの詳細
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/08/03 23:08 UTC 版)
「グリーンバーガー=ホーン=ツァイリンガー状態」の記事における「重ね合わせの詳細」の解説
GHZ状態は、二状態系3つが量子的にもつれた状態である。二状態系を電子のスピン自由度だと思うことにすると、3つの電子のスピンのx, y, z 成分を測定することができる。電子のスピンは、どの成分を測定しても+1か−1を与えることが知られている。 GHZ 状態では、以下の節で説明してあるように、 1番目の電子のスピンのy成分、2番目の電子のスピンのy成分、3番目の電子のスピンのx成分 を測定した場合は、結果は (+++), (+--), (-+-), (--+)のいずれか。 ... (1) 1番目の電子のスピンのy成分、2番目の電子のスピンのx成分、3番目の電子のスピンのy成分 を測定した場合は、結果は (+++), (+--), (-+-), (--+)のいずれか。 ... (2) 1番目の電子のスピンのx成分、2番目の電子のスピンのy成分、3番目の電子のスピンのy成分 を測定した場合は、結果は (+++), (+--), (-+-), (--+)のいずれか。 ... (3) を必ず与え、一方 1番目の電子のスピンのx成分、2番目の電子のスピンのx成分、3番目の電子のスピンのx成分 を測定した場合は、結果は (++-), (+-+), (-++), (---)のいずれか。 ...(4) を必ず与えるような状態である。以上のような実験結果は、隠れた変数モデルでは説明できない。 なぜなら、隠れた変数モデルでは、量子状態の測定結果は確率的におこるけれども、一回一回の測定においては、どのような測定をした結果も決まっているはずである、と考える。すると、GHZ状態は測定以前でも、 1番目の電子のスピンのy成分を測定すると s y ( 1 ) {\displaystyle s_{y}^{(1)}} 、x成分を測定すると s x ( 1 ) {\displaystyle s_{x}^{(1)}} 2番目の電子のスピンのy成分を測定すると s y ( 2 ) {\displaystyle s_{y}^{(2)}} 、x成分を測定すると s x ( 2 ) {\displaystyle s_{x}^{(2)}} 3番目の電子のスピンのy成分を測定すると s y ( 3 ) {\displaystyle s_{y}^{(3)}} 、x成分を測定すると s x ( 3 ) {\displaystyle s_{x}^{(3)}} となることが決まっており、 s x , y ( 1 , 2 , 3 ) {\displaystyle s_{x,y}^{(1,2,3)}} への+1、−1の割り振りのパターンが確率的に決まっていると考えることになるが、 上の(1)より s y ( 1 ) s y ( 2 ) s x ( 3 ) = 1 {\displaystyle s_{y}^{(1)}s_{y}^{(2)}s_{x}^{(3)}=1} 上の(2)より s y ( 1 ) s x ( 2 ) s y ( 3 ) = 1 {\displaystyle s_{y}^{(1)}s_{x}^{(2)}s_{y}^{(3)}=1} 上の(3)より s x ( 1 ) s y ( 2 ) s y ( 3 ) = 1 {\displaystyle s_{x}^{(1)}s_{y}^{(2)}s_{y}^{(3)}=1} となる。これを三つ掛け合わせて、 ( s x , y ( 1 , 2 , 3 ) ) 2 = 1 {\displaystyle (s_{x,y}^{(1,2,3)})^{2}=1} をつかうと、 s x ( 1 ) s x ( 2 ) s x ( 3 ) = 1 {\displaystyle s_{x}^{(1)}s_{x}^{(2)}s_{x}^{(3)}=1} となるが、 上の(4)より s x ( 1 ) s x ( 2 ) s x ( 3 ) = − 1 {\displaystyle s_{x}^{(1)}s_{x}^{(2)}s_{x}^{(3)}=-1} となり、これは隠れた変数モデルが破綻していることを示している。
※この「重ね合わせの詳細」の解説は、「グリーンバーガー=ホーン=ツァイリンガー状態」の解説の一部です。
「重ね合わせの詳細」を含む「グリーンバーガー=ホーン=ツァイリンガー状態」の記事については、「グリーンバーガー=ホーン=ツァイリンガー状態」の概要を参照ください。
- 重ね合わせの詳細のページへのリンク