運動失調の原因
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2018/12/22 01:55 UTC 版)
正常な随意運動は大脳皮質運動領から遠心性運動路、錐体路、末梢神経、さらに筋肉、運動器までのいずれかが損なわれた状態では遂行されない。脳卒中後の片麻痺による筋トーヌス(骨格筋が常に保持する一定の緊張度)の亢進や、パーキンソン病で認められる筋固縮(筋硬直)や、糖尿病性多発神経炎の末梢性感覚障害などにおいては運動が円滑に行われず不安定で、失調を呈する。しかし運動失調を起こす最も代表的な疾患は小脳疾患であり、様々な障害が引き起こされて、結果的に運動失調を呈する。 運動失調は全身性疾患または神経疾患によって起こりえる。全身疾患としては過労、ビタミン欠乏、起立性低血圧が知られている。神経疾患としては、小脳障害、前庭障害、脊髄後索障害、末梢神経障害の可能性がある。小脳障害であれば小脳徴候、前庭障害ならば内耳症状や眼振、脊髄後索障害ならばロンベルグ徴候などで診断をすることができる。 診察手順としてはまずはロンベルグ徴候を調べる。ロンベルグ徴候陰性ならば小脳性運動失調(小脳失調)である。疾患としては小脳梗塞などが代表的である。ロンベルグ徴候陽性ならば深部感覚障害を調べる。深部感覚障害がなければ、前庭障害の可能性が高い。深部感覚障害があれば表在感覚障害を調べる。表在覚障害がなければ脊髄後索障害と考えられる。これは感覚性運動失調と呼ばれる。感覚が失調をきたすのではなく、あくまで感覚が原因で運動失調をきたすことであり、注意を要する。表在覚の障害もあれば、末梢神経障害である。 この他に大脳に起因する運動失調がある。
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