諸芸術の表象のある静物とは? わかりやすく解説

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諸芸術の表象のある静物

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/11/15 08:54 UTC 版)

『諸芸術の表象のある静物』
ロシア語: Натюрморт с атрибутами искусств
英語: Still Life with Attributes of the Arts
作者 ジャン・シメオン・シャルダン
製作年 1766年
素材 キャンバス上に油彩
寸法 112 cm × 140.5 cm (44 in × 55.3 in)
所蔵 エルミタージュ美術館サンクトペテルブルク

諸芸術の表象のある静物』(しょげいじゅつのひょうしょうのあるせいぶつ、: Натюрморт с атрибутами искусств: Still Life with Attributes of the Arts)は、18世紀フランスロココ期の巨匠ジャン・シメオン・シャルダンが1766年にキャンバス上に油彩で制作した絵画である。エカチェリーナ2世 (ロシア皇帝) の発注により描かれた[1][2]。本来、サンクトペテルブルクの芸術アカデミーの会議室に掛けられるための作品であったが、エカチェリーナがたいそう気に入ったため、自身のために冬宮殿に掛けた[2]。作品は現在、サンクトペテルブルクのエルミタージュ美術館に所蔵されている[1][2][3]

作品

シャルダンの画業後期に制作された本作は、諸芸術の寓意である。絵画用の絵筆とパレット、厚い学術的書物、赤い紙挟みなどが丹念に描かれている。やわらなか光に照らされ、豊かな色彩で描かれた事物が美しい[1]。1744年にジャン=バティスト・ピガール英語版により制作された、脚にサンダルを結びつけているメルクリウスの彫像は絵筆やパレット同様、シャルダンの職業である芸術を示唆する。彫像の足元には設計図と三角定規があり、建築を示している。書物と小銭はそれぞれ、文学と金細工業を表す[3]

シャルダンは「啓蒙的リアリズム (enlightening realism)」とよばれる絵画のジャンルを生み[1]、近代的な意味における静物画を創始した画家といってもよいが、この寓意的な作品にもその特質が十分に発揮されている。快い色彩の調和と厳格な構図、空気感までも描出した表現力は、晩年においてもまったく衰えていなかったばかりか、ますます洗練の度合いを加えている[2]

なお、本作より1年前の1765年に制作された『諸芸術の表象』、『音楽の表象』がパリルーヴル美術館に、『科学の表象』が同じくパリのジャックマール=アンドレ美術館に所蔵されている。

ギャラリー

脚注

  1. ^ a b c d Still Life with Attributes of the Arts”. エルミタージュ美術館公式サイト (英語). 2025年11月14日閲覧。
  2. ^ a b c d 『NHK エルミタージュ美術館 2 ルネサンス・バロック・ロココ』、1989年、165頁。
  3. ^ a b V. V. A. A. (2005). Museos del Mundo, Museos del Hermitage, San Petersburgo. Pág. 118 (Planeta de Agostini ed.). ISBN 84-674-2001-4 .

参考文献

外部リンク




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