買物帰りの召使とは? わかりやすく解説

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買物帰りの召使

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/11/13 13:50 UTC 版)

『買物帰りの召使』
フランス語: La Pourvoyeuse
英語: The Provider
作者 ジャン・シメオン・シャルダン
製作年 1739年
素材 キャンバス上に油彩
寸法 47 cm × 38 cm (19 in × 15 in)
所蔵 ルーヴル美術館パリ

買物帰りの召使』(かいものがえりのめしつかい、: La Pourvoyeuse: Die Besorgerin: The Return from the Market)は、18世紀フランスロココ期の巨匠ジャン・シメオン・シャルダンキャンバス上に油彩で制作した絵画である。3点の異なるヴァージョンが現存し[1][2]カナダ国立美術館 (オタワ) [3]シャルロッテンブルク宮殿 (ベルリン) の作品は1738年に[1]ルーヴル美術館 (パリ) の作品は1739年に描かれた[1][2][4]。画中の女性の右肘の横に画家の署名と制作年が記されている[1][4]

作品

ヴェルサイユ宮殿で華麗なロココ趣味の世界が展開されていた時代に、シャルダンは生涯パリの町をほとんど離れず[2]、流行を追うようなこともなかった[5]。そして、市民の間で毎日繰り返される、平凡で慎ましい日常生活を暖かい眼で観察し続けた[2]。本作は、彼が何の感傷もなく、誠実に描いた風俗画のうちの1点である[5]

ピーテル・デ・ホーホデルフトの家の中庭』 (1658年)、ナショナル・ギャラリー (ロンドン)

買物に出るという仕事はまさしく日常生活そのもので[2]、画面に描かれている召使の女性は買ってきた食料を置いているとこである[3]。彼女の注意は、自身の仕事と隣の部屋でなされている会話に分断されている。シャルダンはこのような私的で静かな場面を好み、鑑賞者が場面に深く入り込むことを求めている[3]

17世紀オランダ絵画黄金時代の中で、アドリアーン・ファン・オスターデハブリエル・メツーヘラルト・ドウなどの画家たちは18世紀の特定の画家たちに影響を与えたが、シャルダンはその筆頭に挙げられる[6]。本作も、17世紀オランダ風俗画の系譜に連なるものである。事実、美しい明暗法の効果、特に日に照らされた裏庭へと続くドアの開口部に見られる洗練された効果は、ピーテル・デ・ホーホやハブリエル・メツーから借用されている。とはいえ、シャルダンは、滑らかな筆触とざらざらとした筆触を交互に配することで、丹念で見事な仕上がりと豊かな表情を画面に与えている。彼は形態に即し、絵具の塗をそっくり模倣するという、素晴らしい表現形式を示しており[6]、美術愛好家たちは彼の絵画技法に対する鋭い感性を称賛した。この技法は彼独自のものである[3]

シャルダンの同主題作

脚注

  1. ^ a b c d La Pourvoyeuse”. ルーヴル美術館公式サイト (フランス語). 2025年11月13日閲覧。
  2. ^ a b c d e 『NHKルーブル美術館VI フランス芸術の華』、1986年、115頁。
  3. ^ a b c d The Return from the Market”. カナダ国立美術館公式サイト (英語). 2025年11月13日閲覧。
  4. ^ a b 『ルーブル美術館展 日常を描く』 2015, pp. 98.
  5. ^ a b 『NHKルーブル美術館VI フランス芸術の華』、1986年、111頁。
  6. ^ a b 『ルーブル美術館展 日常を描く』 2015, pp. 84–85.

参考文献

外部リンク




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