調弦と演奏
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/01/28 01:00 UTC 版)
楽器における多様性に対応して、その演奏法や弓の形状も多様であったと考えられる。駒やブリッジが平坦なものでは一つの弦だけを鳴らすことが難しく、(指板をもつものでは)指で押さえた弦はメロディーを奏で、他の弦はドローン伴奏の役割を果たすといった演奏が行われていただろう。駒が湾曲しているものではより演奏に自由度があったと思われる。 ドローンを奏する関係上、調弦はユニゾン5度および4度を基本としたものとなる。13世紀の人物、ジェローム・ド=モラヴィー (Jérôme de Moravie) は中世フィドル (vielle) の調弦法を3種類書き残しているが、そのひとつは d-G-g-d'-g' となっている。4本の弦を2本ずつユニゾンの組にして、すなわち、複弦で、調弦するような楽器もあったようだ。 中世期、特定の楽器のために曲が書かれることはきわめて少なく、奏者は時と場合にしたがってさまざまな形態で楽器を演奏していた。フィドルは、宗教音楽および世俗の音楽において、旋律を奏したり、歌の旋律をなぞったり、ドローンで伴奏に供したりとさまざまな方法で奏されたと考えられる。
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