語り手と作者、聞き手と読者
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/05/19 09:42 UTC 版)
「物語論」の記事における「語り手と作者、聞き手と読者」の解説
語り手は、作者とは区別される。現実世界に肉体を持って存在する作者(作家)とも異なるし、表現から再構成される作者(内包された作者 implied author・暗黙の作者)とも区別される。語り手は言葉によって状況・事象を物語るが、内包された作者はそうではなく、語り手によって物語られた言葉の選択や配列の責任を持つのみである。人格を顕さずに淡々と物語る語り手の場合、語り手と内包された作者の区別は曖昧になるとされるが、概念上は上記のように明確に区別される。また一人称私小説の場合も両者は混同して受け取られることが少なくない。 聞き手もまた現実世界に肉体を持って存在する読者(reader)とは区別される。語り手はある程度特定された聞き手に向かって語ると想定されるが、それは無数に存在しうる読者のことではない。また内包された読者(implied reader)・暗黙の読者とも異なる。内包された読者とは表現から推定される読者像のことである。これらは「素養のある読者」とも異なる概念である。
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