語り手という概念
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/18 18:37 UTC 版)
西洋において小説が勃興した19世紀、「語り手」という概念や、後に「信頼できない語り手」(unreliable narrator)と呼ばれることになる概念が重要なものとなった。1800年ごろまでは、詩(『イリアス』や『失楽園』のような叙事詩、ウィリアム・シェイクスピアの詩劇も含む)だけがアカデミックな文芸評論の対象だったが、詩においては作者と語り手が異ならないことが多かった。しかし、小説を評論するにあたっては、その内部の虚構世界が問題となった。特に、語り手の視点が作者の視点と異なる場合が問題とされるようになった。 物語は、明確で首尾一貫した語り手を持たなければならない。このため、作者による語り手の取り扱い方にはいくつかの決まりごとがある。 語り手は物語の中におり、読者や作者の世界にはいてはならない。語り手と、読者や作者との間には、超えられない「第四の壁」がある。 語り手は明確な属性と明確な限界を持つ単一の存在でなければならない。 語り手は、物語内で出会っていない存在と意思疎通していてはならない。言い換えれば、語り手は物語世界内にある地点から物語を語らなければならない。この地点を、「視点」(point of view)という。 こうした決まりごとは、ポストモダン文学やそのさきがけとなる文学ではしばしば破られることがある。
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