複素指数関数による表現
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/13 02:12 UTC 版)
e をネイピア数、i を虚数単位とすれば、複素指数関数とは αeiβ の形式で表現される関数である。単振動は、次のような複素指数関数の実部または虚部を取ったものに相当する。 x = Re ( A e i ( ω t + ϕ ) ) = A cos ( ω t + ϕ ) {\displaystyle x={\mbox{Re}}(Ae^{i(\omega t+\phi )})=A\cos(\omega t+\phi )} x = Im ( A e i ( ω t + ϕ ) ) = A sin ( ω t + ϕ ) {\displaystyle x={\mbox{Im}}(Ae^{i(\omega t+\phi )})=A\sin(\omega t+\phi )} ここで、Re() は括弧内の複素数の実部を取ることを意味し、Im() は括弧内の複素数の虚部を取ることを意味する。複素指数関数と三角関数にはオイラーの公式より、 A e i ( ω t + ϕ ) = A cos ( ω t + ϕ ) + i A sin ( ω t + ϕ ) {\displaystyle Ae^{i(\omega t+\phi )}=A\cos(\omega t+\phi )+iA\sin(\omega t+\phi )} という関係があるため、上記の式が導かれる。複素指数関数の定数係数 A を複素数 Ac に拡張すれば、φ を陽に表さずに次のように表現できる。 A cos ( ω t + ϕ ) + i A sin ( ω t + ϕ ) = A c e i ω t {\displaystyle A\cos(\omega t+\phi )+iA\sin(\omega t+\phi )=A_{c}e^{i\omega t}} ここで、定数係数 Ac は A および φ と次のような関係である。 A c = A cos ϕ + i A sin ϕ {\displaystyle A_{c}=A\cos \phi +iA\sin \phi } したがって、この形式では、振幅 A と初期位相 φ の情報は複素数 Ac の中に含まれる。複素数に拡張された振幅は複素振幅と呼ばれる。 複素指数関数の形式は微分・積分しても関数の形が変わらないという利点がある。また、振幅と初期位相という2つの数を1つの複素数にまとめることができ、数式処理が簡単となる。こういった利点のために、本来は実数である x を一旦複素数に拡張し、何らかの計算後に最後に実部を取るという手法によって、過程の計算を簡便にできる。このときに可能な計算は、和、差、微分、積分などの線形演算である。こういった手法は、特に定数係数の線形微分方程式の問題を解くときに半ば常識的に多用される。
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