製墨
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/13 02:48 UTC 版)
墨作りは寒い冬に作業する。気温が高いと膠が腐敗してしまうからである。 練り上げる煤に、溶かした熱い膠を混ぜ、よく練っては揉み、また練っては揉む。中国では臼に入れて杵でついた。ついてはこね、ついてはこねて練り上げる。練りながら少しずつ香料を加える。練り上げた墨を木型に入れて形を整え圧搾する。この練りの作業が品質を左右するといわれ、熟練した墨師の技術に依存する。 乾燥次に型からはずした墨を乾かす。灰の中に埋めて湿り気を吸わせるが、最初はかなり湿った灰を使い、毎日毎日少しずつ湿度の少ない灰に取り換える。割れたり、曲がったりしないように灰の取り換えには苦心を要する。墨の大小によって、10日~1ヶ月あまりでこの灰乾燥は終わる。灰乾燥が終わった墨は、干し柿のように藁でつるして干す。この自然乾燥は、2~3ヶ月続けられる。こうして干し上がった墨に磨きをかけ、金色や銀色などで模様を描き、墨の出来上がりである。 ねかせる墨は出来上がってから休むことなく変化を続ける。特に最初の2~3年は性質が安定しないため、このような状態の墨を使うと水と墨がなじまず、ひどく汚い滲み方をする。よって、製造元では出来た墨をねかしておいてから出荷するのが普通である。
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