蠕虫型幼生の発生
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/24 15:33 UTC 版)
Dicyema balamuthi を用いた実験では、蠕虫型幼生はネマトジェンの軸細胞内で軸芽細胞 (じくがさいぼう、axoblast)と呼ばれるアガメート(agamete、非配偶体)から無性的に生じる。初期発生は螺旋卵割に類似した分裂で進行し、5細胞期以降は左右相称型に移行する。有糸分裂によって増殖する軸芽細胞のうち、胚発生に向かうものは不等分裂を行い、大小2個の細胞となる。大細胞が一度分裂を休止する間、小細胞が均等分裂を繰り返し、そこでできた娘細胞が大細胞を取り囲む。大細胞は小細胞に取り囲まれると極端な不等分裂を行ってクロマチンを放棄し、更に不等分裂を行うが、その際小さい方の細胞は大きい方の細胞内に取り込まれる。この大きい方の細胞は軸細胞となって分裂することなく伸長し、小さい方の細胞は最初の軸芽細胞となってその数を増し、軸細胞の外側を取り囲む小細胞はその種に固有の細胞数となるまで有糸分裂を行う。小細胞は極帽を作る細胞と胴部を覆う体皮細胞に分化し、細胞表面に繊毛を生じることで蠕虫型幼生が完成する。 ヤマトニハイチュウ Dicyema japonicum およびコンボウニハイチュウ Dicyema clavatum を用いた実験では、体外に出た蠕虫型幼生はネマトジェンとなるが、体皮細胞数は変化せず、各細胞の肥大・伸長により成長することが解っている。
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