舞台劇:Pièce Bien Faite
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/23 19:40 UTC 版)
「ウジェーヌ・スクリーブ」の記事における「舞台劇:Pièce Bien Faite」の解説
スクリーブの確立した一連の舞台劇の様式は、Pièce bien faite(語義は「うまく作られた作品」、英語でもウェルメイド・プレイ(well-made play)という)と称された。多くは史実を題材にとり、また舞台美術上は綿密な時代考証を経て絢爛豪華に舞台化されるので、ストーリー自体も歴史に忠実に基づいているように観客は誤解したが、実際はそういった題材もドラマ展開に都合を合せて大胆に改変・省略されていることもしばしばだった。スクリーブの劇では登場人物の内面的個性の発揮、人格の成長、といった深遠なものは望むべくもないが、結末は観客の既存道徳観念に対して常に予定調和的であり、木戸銭を払った分の満足は得ることができた。19世紀前半パリでの舞台劇(およびオペラ)の中心となる観客層は、宗教的教訓や歴史的厳密性には無頓着な、一日の娯楽を求めに劇場に足を運ぶ新興ブルジョワ層であり、スクリーブの作劇は彼らの需要にまさにマッチしていたのである。 スクリーブ自身、1836年のアカデミー・フランセーズ会員就任演説(前任者アルノールの追悼演説を兼ねる)で「人々が劇場に赴くのは、指導を仰ぐためでも更生を目指すためでもなく、息抜きと娯楽のためである。そして娯楽のために必要なのは真実ではなくフィクションである。日々の些事は人々を喜ばせない。日常目にすることのない特別なもの、ロマンティックなものこそが人々を魅了する」と述べている。
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