自然失業率と貨幣の中立性
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/19 04:19 UTC 版)
「フィリップス曲線」の記事における「自然失業率と貨幣の中立性」の解説
ミルトン・フリードマンはフィリップス曲線に期待(予想)の概念を導入し、インフレ率の水準に関わらず長期的には一定の失業率に落ち着くとし、この失業率を自然失業率(natural rate of unemployment)と呼んだ。マネタリズムは、長期のフィリップス曲線は垂直になると主張する。つまり、インフレ率と失業率には逆相関の関係はないということになる。フリードマンに影響を受けた新古典派のマクロ経済学者たちは、景気の状況によって財政・金融政策を頻繁に動かすのは、逆に経済を不安定にするとしている。 ジェームズ・トービン、ジョージ・アカロフやポール・クルーグマンらによって、低インフレからデフレ領域においては長期においてもフィリップス曲線が右下がりとなることが指摘されている。これは、名目賃金の硬直性により、インフレ率の低い領域では実質賃金の調整が一層困難となり失業が解消されにくいこと、またその失業が履歴効果などによって長期的に固定化・構造化してしまうことなどによる(低インフレからデフレ領域では「インフレの潤滑油効果(inflation's grease effect)」が機能しない)。長期においても右下がりなフィリップス曲線は、長期に渡っても貨幣の中立性が成立せず、デフレーションが経済に悪影響を与え続け得ることを示唆している。
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