腹部の構造について
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/07/21 07:41 UTC 版)
実は、このクモの場合、腹部の見かけ上の後端は本来の後端ではない。というのは、このクモは腹部は普通のクモの腹部が前後に細長くなったものではないからである。普通のクモでは、腹部腹面の前方に書肺と生殖孔が、後端には糸疣と肛門がある。しかしこのクモでは糸疣と肛門は腹面の前方から腹部の長さの1/6程度の、かなり前の方にある。このクモはイソウロウグモやヤリグモに近く、この類では腹部は丸くふくらむが、その後方背面が後ろ斜め上に突出する。オナガグモの場合、これが極端に伸びてしまったと考えることが出来る。近縁なヤリグモでは腹部後端がやはり伸びるが、基部がややふくらんでおり、斜め上に伸びるため、印象はかなり異なる。 同様な構造はアシナガグモ科のトガリアシナガグモや、コガネグモ科のキジロオヒキグモなど、他に例がないわけでもないが、これほど極端なものはない。ちなみに名前は尾長蜘蛛である。長いのは腹部であるが、肛門より後ろが長く伸びているから、ある意味では長い尾と言える。なお、この尾は場合によっては螺旋状にまで曲がるが、たとえばこれを枝に巻き付けるとか積極的に利用する場面を見ることはなく、何の役に立つのか全く不明である。クモ類で腹部をこのように変形させることが出来る例も他にあまりない。
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