細胞遺伝学とがん研究における中期
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/08/24 01:08 UTC 版)
「中期 (細胞分裂)」の記事における「細胞遺伝学とがん研究における中期」の解説
中期の染色体の分析は、古典的な細胞遺伝学とがん研究の主要なツールの1つである。中期の染色体は凝縮され高度にらせん化されているため、視覚的分析に最も適している。中期の染色体は、染色体の典型的な像(核型)を提供する。細胞遺伝学的な分析のために細胞は短期間培養され、有糸分裂阻害剤(英語版)を用いることで細胞周期は中期で停止される。プレパラート標本が作製され、染色体の構造や数を研究するために染色体のバンドが顕微鏡下で観察される。プレパラート標本の染色にはギムザ(G分染法)やキナクリン(メパクリン(英語版))がよく用いられ、数百のバンドパターンが作り出される。正常な中期の染色体スプレッド(各染色体が識別できるように分離されたもの)は蛍光 in situ ハイブリダイゼーションなどの実験手法や、比較ゲノムハイブリダイゼーション実験の基質として利用される。 固形腫瘍や白血病試料中の悪性腫瘍細胞も、同様の標本作製によって細胞遺伝学的な分析に利用される。染色された中期の染色体の精査によって、腫瘍細胞ゲノムの数的・構造的変化が発見される。変化の例としては染色体の一部の欠失や転座などがあり、慢性骨髄性白血病でみられるbcr-ablのようなキメラのがん遺伝子が形成されることもある。
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