神経機能に関する研究
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/03 08:42 UTC 版)
神経生理学の研究と同様に、犯罪者と精神病質者の脳は構造が異なるだけでなく、作用も異なることが神経機能に関する研究によって示された。以下に示すように、構造的な異常も機能的な異常も、脳の同じ領域に影響を及ぼす傾向がある。発見された主な異常は次のとおりである。 前頭皮質の活性化の欠如 暴力犯罪者の脳が前頭前野のグルコース代謝の有意な低下を示したという観察を、多くの研究が再現している。 扁桃体の活動の低下 ある研究によって、精神病性の得点が高い人は、感情的、個人的な道徳的意思決定の際に、扁桃体の活動が低下することがわかった。 後部帯状回の機能不全 2件の研究から、後部帯状回は成人の犯罪精神病質者と攻撃的な患者では機能が不充分であることが明らかになった。 角回の脳血流の減少 殺人犯や衝動的で暴力的な犯罪者の角回の脳血流が減少していることが、いくつかの研究で明らかになった。 皮質下辺縁系のより高い活性化 1998年の研究では、特に脳のより「感情的な」右半球において、反応性殺人者と能動性殺人者の2つのグループの皮質下辺縁系領域において、より高い活性化が示された。 海馬とその傍海馬回の機能障害 多くの研究によると、殺人や暴力的な犯罪者全般において、脳の海馬とその傍海馬回の領域が正常に機能していないことが示唆されている。
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