磁気浮揚とは? わかりやすく解説

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磁気浮上

(磁気浮揚 から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/12/19 16:12 UTC 版)

熱分解炭素英語版のシート
熱分解炭素の磁気浮上

磁気浮上(じきふじょう、: Magnetic levitation, maglev, magnetic suspension)は、磁力のみによって物体を空中浮揚させる方法を指す。マグレブとも。重力に抗する力として電磁気力が用いられる。

いくつかの場合には、浮上のための力としては磁気浮上を用いるものの安定化のために微小な力を加える支持機構が用いられる。これは擬似磁気浮上: pseudo-levitation)と呼ばれる。

磁気浮上式鉄道磁気軸受、商品展示などに用いられる。

安定性

アーンショーの定理により、静的・巨視的・「古典的」な電磁場のみによる安定な浮上は実現できない事が証明されている。物体に加わる重力静電場静磁場からの力をどのように組み合わせても、物体の位置は不安定となる。しかし、実用的な浮上を実現するための可能性はいくつかある。例えば、電気回路による安定化や反磁性の利用などである。

方法

磁気浮上にはいくつかの方法がある。磁気浮上式鉄道に用いられる代表的な方法は、サーボ安定化電磁吸引支持方式電磁誘導浮上支持方式、そして(将来的には)インダクトラックである。

束縛機構(擬似磁気浮上)

わずかな数の安定化用機構によって、擬似磁気浮上は比較的容易に実現できる。

(例えば糸などの)1つの鉛直な軸上に2個の磁石を束縛し、互いに強く反発し合うようにすると、片方が他方の上に浮上することになる。

別の例としては、ジッペ式遠心分離機(: Zippe-type centrifuge)が挙げられる。これは、磁石の下に磁力で吊り下げられた円柱を下から針状の軸受けで支えた構造となっている。

反磁性による直接の浮上

鉛直に置かれた内直径 32 mm の Bitter 電磁石(Bitter electromagnet)内で浮上する生きたカエル磁束密度は約 16 T である。オランダナイメーヘンHigh Field Magnet Laboratory による。動画は Direct link to video にある。

反磁性体は磁場に反発する。どんな物質でも反磁性を有しているものの、その効果は非常に弱いため、通常はより強く異なった効果を持つ常磁性強磁性によって打ち消される。3種類の磁性のうち反磁性が最も強いものであれば何でも(力は通常それほど強くないものの)磁石に反発する。

アーンショーの定理は反磁性体には適用されない。通常の磁性とは逆の性質は、比透磁率 μr が μr < 1 となっているために起こる。

反磁性による浮上は、熱分解炭素英語版ビスマスの非常に軽い小片を適度に強い永久磁石の上に浮上させるのに用いることができる。は反磁性の効果が強いため、同様の方法で水滴や、バッタやカエルなどの生物を生きたまま浮上させることさえできる(ちなみにこの実験は、そのユーモラスさから2000年イグノーベル賞を受賞している)。ただし、そのために必要な磁場の強さは非常に大きく、典型的には 16 T 程度であり、実験装置の近くに強磁性体があると大きな問題を引き起こす。

反磁性による浮上のための条件は

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出典検索?"磁気浮上" – ニュース · 書籍 · スカラー · CiNii · J-STAGE · NDL · dlib.jp · ジャパンサーチ · TWL
2008年5月

磁気浮上技術の大半はさまざまな複雑な問題点を抱えている。

  • 能動的浮上方法の多くは安定な領域が非常に狭い。
  • そもそも磁場は振動を排除するようになっていない。このため物体が安定領域から外れる原因となる振動モードが存在しうる。渦電流は導体が適切な形状であれば安定となる。また、その他の機械的・電気的な防振技術が使われる場合もある。
  • 重量物を持ち上げるには、必要な磁場を電磁石で作るために大電力・大電流が要求される。
  • 超電導は極低温を必要とし、ヘリウム冷却が使われる場合も多い。

用途

磁気浮上式鉄道磁気軸受等で使用される。一部を除いて実用化された例は限られている。また、免震装置としての研究も進められている。[8]

利用例

歴史

関連項目

出典

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