硫黄の三重点
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/10 14:33 UTC 版)
大気圧下で安定な硫黄の同素体として、斜方硫黄と単斜硫黄が知られている。固相が二つあるので、共存する三相として斜方-単斜-気、単斜-液-気、斜方-単斜-液、斜方-液-気の4通りが考えられる。図と表に示したように、これら4つの三重点は全て観測されている。 斜方硫黄の昇華曲線(図中の DA)と単斜硫黄の昇華曲線 AC の交わる点 A が、斜方硫黄-単斜硫黄-気相の三重点である。この三重点温度は、大気圧下で斜方硫黄と単斜硫黄が二相平衡となる温度とほぼ等しい。 単斜硫黄の昇華曲線 AC と液体硫黄の蒸気圧曲線 CF の交わる点 C が、単斜硫黄-液相-気相の三重点である。この三重点温度は、大気圧下での単斜硫黄の融点とほぼ等しい。 単斜硫黄の密度は斜方硫黄の密度よりも小さいので、この二つの固相が相平衡となる温度(二相のギブズエネルギーが等しくなる温度)は、高圧ほど高くなる(図中の AB)。この曲線 AB と単斜硫黄の融解曲線 CB の交わる点 B が斜方硫黄-単斜硫黄-液相の三重点である。この三重点圧力は、千気圧を越える高圧である。 斜方硫黄の昇華曲線 DO と過冷却液体硫黄の蒸気圧曲線 OC の交わる点 O が斜方硫黄-液相-気相の三重点である。この三重点 O は、単斜硫黄が最安定な相となる温度・圧力領域 ABC の中にある。この領域内では斜方硫黄、液相、気相のいずれも準安定相であるが、斜方硫黄から単斜硫黄への相転移速度がきわめて遅いため、準安定な三相の間の三重点が観測できる。この三重点温度は、大気圧下での斜方硫黄の融点とほぼ等しい。 硫黄の三重点相温度 / K圧力 / Pa斜方硫黄-単斜硫黄-気相368.5 1.1 単斜硫黄-液相-気相393.0 3.7 斜方硫黄-単斜硫黄-液相424 137×106 斜方硫黄-液相-気相387.1 3.4
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