病院での必要医師数の不足
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/30 14:59 UTC 版)
「医師不足」の記事における「病院での必要医師数の不足」の解説
従来地域の総合病院が医師を確保する方法として、医局の人事による派遣が主であった。病院は医局から送られてきた医師を直接雇用し治療に当たってきた。医師の交代などの人事権は各科の医局の一存で決まっていた。このシステムによって地域の総合病院の人的資源は維持されていたが、その非民主主義的な側面を問題としたマスコミや官僚により医局解体が取りざたされるようになった。そして、2004年4月からの新医師臨床研修制度によって、実質的な医局解体の動きをもたらされることになった。 この新医師臨床研修制度の開始に伴い臨床研修指定病院の要件が緩和され、従来、大学病院など特定の病院においてのみ研修が可能であったのが、一般の民間病院においても研修ができるようになった。これにより、新人医師(研修医)は大学医局に属することなく初期研修を受けることができるようになり、医局の人事権は大きく損なわれることになったのである。さらに、新人医師は多彩な症例が多い病院を選択する傾向があり、薄給で直接医療と関係のない下働きが多いとされた大学病院や、症例の多くない地方の病院や小さな病院での研修を避けるようになった。しかも、都市部の民間病院でも医師不足は深刻な状態にあるため、研修後も大半は地方の大学病院に戻ることはなかった。 そして、この一連の流れにより大学病院での医師が不足するようになり、大学病院は高水準の医療を維持するために地方の病院に派遣していた医師を引き上げる結果となった。こうして地域の総合病院などから医師が引き上げられたことで、地域病院の診療科が次々と閉鎖に追い込まれるなどの問題が日本国中で生まれるに至った。
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