病理検査報告書と病理診断報告書の違いについて(日本病理学会)
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医療機関に病理医が常勤または非常勤し病理標本について観察する場合は、その報告書は「病理診断報告書」である。診療報酬制度上も研鑽を積んだ病理医が病理診断を行っている場合は病理診断料N006が算定される。病理診断管理加算も算定される。 病理外注の場合は、病理学的検査という検体検査外注であり、その報告書は検体検査報告書である。この場合は病理検査報告書に基づいて、臨床医が病変について判断するので、病理判断料N007が算定される。 このため、日本病理学会では、保険医療機関内で診断された病理報告書は「病理診断報告書」、衛生検査所等での病理報告は「病理検査報告書」と差別化している。「病理検査報告書」はあくまで「検査報告・助言」という認識である。(佐々木毅:連載 病理をとりまく社会問題 病理診療報酬の変遷と今後の展望.病理と臨床 2014, 32:1172) 検査所で受託された病理材料について作製された標本を病理医が観察し、検体検査の報告書を作成することがあるが、これは「診断」ではない。診断は医行為であるから、当然ながら病理診断は医療機関でなされるものである。今世紀に入り、病理診断の重要性が認識されてきたとはいえ、病理材料について検体検査として、検査センター(多くの場合は登録衛生検査所)に外注が増えている。外注割合は2000年頃は40-50%だったものが近年は80%とも言われ増加の一途をたどっている。病理材料の20%が病理診断がなされているが、80%は病理学的検査報告書に基づいて臨床医が病変について病理判断していることになる。 結局、日本病理学会は東奔西走し、内保連等の支援も受けて、2008年病理診断科標榜診療科入りや病理診断診療報酬位置づけ変更などが行われたというものの、市場に流れた病理材料について、医療機関内での医行為に戻すまでには至らなかったと言える。患者側に立った病理診断の意義を高めるためには、さらなる政策のテコ入れが必要となる。
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