画論『画道要訣』
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/21 14:14 UTC 版)
絵画における安信の考え、ひいては狩野派を代表する画論としてしばしば引用されるのが、晩年の延宝8年(1680年)に弟子の狩野昌運に筆記させた『画道要訣』である。この中で安信は、優れた絵画には、天才が才能にまかせて描く「質画」と、古典の学習を重ねた末に得る「学画」の二種類があり、どんなに素晴らしい絵でも一代限りの成果で終わってしまう「質画」よりも、古典を通じて後の絵師たちに伝達可能な「学画」の方が勝るとしている。ただし、安信は質画の良さまで否定したわけではなく、さらに「心性の眼を筆の先に徹する」「心画」とも言うべき姿勢をもっとも重視している。ただし、『画道要訣』は出版されておらず、写本で広まった形跡もなく、江戸時代の画論書でも引用されることは殆ど無い事から、中橋狩野家に秘蔵されたと見られ、他の狩野家にすら影響を与えたとは考えづらいことは注意を要する。
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