玄武3
韓国が開発した巡航ミサイル。「 韓国の独自技術で生産され」ているという。2013年10月1日の「国軍の日」に催される市街行進で公開されることが中央日報などにより報じられた。
中央日報の2012年の記事によれば、玄武3には「玄武-3A」「玄武-3B」「玄武-3C」の3タイプがあり、それぞれ射程距離は500キロ、1000キロ、1500キロであるという。
なお「玄武2」は射程距離300キロメートルの弾道ミサイルである。
関連サイト:
「玄武III」「スパイク」「海星」…国軍の日にミサイル初公開=韓国 - 中央日報日本語版 2013年9月30日
韓国国防・統一部長官が北朝鮮に強硬発言、なぜ? - 中央日報日本語版 2012年3月9日
【社説】韓米ミサイル射程距離交渉、急いで妥結を - 中央日報日本語版 2012年7月24日
玄武-3
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/10/04 07:32 UTC 版)
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玄武-3の発射台付き車両
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種類 | 対地用巡航ミサイル (LACM) |
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製造国 | ![]() |
設計 | 国防科学研究所 |
製造 | LIGネクスワン |
性能諸元 | |
ミサイル直径 | 0.53 - 0.60 m[1] |
ミサイル全長 | 6.2 m[1] |
ミサイル重量 | 約1,360 kg[1] |
弾頭 | |
射程 | |
推進方式 | 固体燃料ロケット・ブースタ[1] +ターボファン・サステナ[注 1] |
誘導方式 | INS+GPS+TERCOM+IRH[2] |
飛翔速度 | マッハ1.2[2] |
玄武-3(朝鮮語: 현무-3、英: Hyunmoo-3)は、大韓民国で開発された対地用巡航ミサイル(LACM)[1][2]。
来歴
韓国は、1965年にアメリカ合衆国製の地対空ミサイルであるナイキ・ハーキュリーズを導入したのち、これを基にした戦術弾道ミサイルの開発を進め、1987年には玄武-1(射程180 km)を配備、更に長射程の玄武-2の開発も進めていた[2]。
ただし韓国における弾道ミサイルの開発は、1979年にアメリカとの間で作成された了解覚書である「ミサイル指針」による制限を受けており、当初は射程は180 km、弾頭重量は500 kgが上限とされていた[2]。その後、4回にわたる改正によって段階的に制限が緩和され、2021年5月には指針が完全に廃棄されるに至ったものの、2000年代の時点では射程800 kmという制限が課されており、より長射程の地対地ミサイルを開発する場合は、弾道ミサイルではなく巡航ミサイルとする必要があった[2]。
これらの情勢を受けて、玄武シリーズとしては異例の巡航ミサイルとして開発されたのが玄武-3である[1][2]。開発は1990年代より着手され、車両発射型の玄武-3Aは2006年、水上艦発射型の玄武-3Bは2009年[2][注 2]、潜水艦発射型の玄武-3Cは2012年に配備された[1]。
設計
玄武-3はトマホークと類似した設計を採用しており、長距離を飛行して多様な誘導・探索方式によって、目標への精密打撃を可能とする[2]。ミサイルの誘導方式としては、中間航程では慣性誘導(INS)と衛星航法(GPS)、そして地形照合・デジタル画像照合(TERCOM/DSMAC)誘導を用いるほか、終末航程では赤外線誘導も複合使用される[2]。平均誤差半径(CEP)は、玄武-3A/Bでは約3 m、玄武-3Cでは2 m未満であるといわれる[1]。
韓国が仮想敵国とする朝鮮民主主義人民共和国は、短い縦深内に密集した防空網を整備していることもあり、玄武-3では、射程距離はトマホークより短くされる一方で、飛行速度はマッハ1.2と高速化されている[2]。推進装置としてはハンファ・エアロスペース社のターボファンエンジンが搭載される[2][注 1]。
なお国防科学研究所は、玄武-3とほぼ並行して、水上艦発射型の海星-2、潜水艦発射型の海星-3といった海軍向けの巡航ミサイルを開発していた[2]。海星-2は玄武-3B、海星-3は玄武-3Cと、それぞれ射程距離と弾頭重量、発射方式において類似している[2]。ただし海星シリーズは艦対艦ミサイルの延長線上で開発されていることもあり、両者には主に速度や巡航・誘導・探索方式において差異がある[2]。玄武-3シリーズは内陸部、海星-2/3は沿岸部の目標の攻撃に適した特性を有しており、任務によって使い分けられるものと考えられている[2]。
脚注
注釈
出典
参考文献
- 李相會「韓国 (各国の艦対地攻撃能力)」『世界の艦船』第1049号、海人社、96-99頁、2025年11月。
- Missile Defense Project (2024-04-23) [2017], “Hyunmoo-3”, Missile Threat (Center for Strategic and International Studies)
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