無盲腸目の独立
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/02 08:29 UTC 版)
1864年、ヴィルヘルム・ペータース Peters は、以前から食虫目に含まれていたグループには盲腸がなく、ワグナーが新たに加えたグループには盲腸があるということに気づいた。1866年、エルンスト・ヘッケルはこれに着目し、食虫目を次の2亜目に分けた: 無盲腸亜目 (Lipotyphla) - 盲腸をもたず眼が未発達で四肢が短い。ハリネズミ、トガリネズミ、モグラなど。 有盲腸亜目 (Menotyphla) - 盲腸と大きな眼と長い四肢をもつ。ツパイ、ハネジネズミ、ヒヨケザル。 その後も、2亜目をそれぞれ目に格上げする、有盲腸目の一部を独立目とするなどが提案されたが、最終的に、有盲腸類の各グループは無盲腸目とも互いにも共通点が少ないとされ、1972年にP. M. バトラーが、食虫目を廃止し、無盲腸目、ツパイ目、ハネジネズミ目をそれぞれ独立目とした(ヒヨケザル目はこれより早く独立目となっていた)。 一方、化石動物でも同様のことが起こっていた。20世紀半ばに、現生の真獣類より原始的と思われた8科が、便宜的に食虫目の原真獣亜目 (Proteutheria) に分類された。しかしその後の研究で、原真獣亜目は無盲腸類とは系統的に遠いことがわかり、1972年にバトラーは、幻獣目 (Apatotheria)・レプティクティス目 (Leptictida)・パントレステス目 (Pantolesta) として独立させた。なお、これらはその後も再編が進んでいて、また、必ずしも最も原始的な真獣類とはみなされていない。 なお、バトラーは食虫目を廃止したが、有盲腸類が食虫目から分離されたとみなし、無盲腸目を食虫目と呼ぶ者も多かった。
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