火星における暗い太陽のパラドックス
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/03/06 16:50 UTC 版)
「暗い太陽のパラドックス」の記事における「火星における暗い太陽のパラドックス」の解説
一般に、暗い太陽のパラドックスは地球の古気候の観点から構成される問題である。しかし古代の火星の気候においても同様の問題点が存在する。 数十億年前の火星には液体の水が存在し、水循環や池、川、降雨、さらには海洋も形成されるほどの充分な量があったと考えられている。その後火星の表面からは液体の水は失われ、現在の火星の表面は低温で乾燥した環境である。地球における暗い太陽のパラドックスと同様に過去の太陽が現在の 70% 程度の出力しか無かったことを考えると、過去の火星は現在の火星よりもさらに低温で乾燥した環境であったことになる。これは火星探査から示唆されている、過去の火星が湿潤で温暖であったという経験的な証拠とは相容れない。地球と火星の両方でのパラドックスを同時に説明するシナリオとしては、上記の過去の太陽は重かったという仮説が存在するが、観測や理論モデルからは現在のところこの説は支持されているわけではない。 その他の仮説としては、メタンのような強力な温室効果ガスが間欠的に大量に大気中に供給されたというものがある。二酸化炭素単独では、過去の火星大気圧が現在のものよりも遥かに高い場合でも、初期の火星表面に液体の水を保持できる温度に保つことはできないと考えられている。
※この「火星における暗い太陽のパラドックス」の解説は、「暗い太陽のパラドックス」の解説の一部です。
「火星における暗い太陽のパラドックス」を含む「暗い太陽のパラドックス」の記事については、「暗い太陽のパラドックス」の概要を参照ください。
- 火星における暗い太陽のパラドックスのページへのリンク