液-ガス熱交換器付きサイクル
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/05/10 06:33 UTC 版)
「蒸気圧縮冷凍サイクル」の記事における「液-ガス熱交換器付きサイクル」の解説
図6.液-ガス熱交換器付きサイクルの構成 図7.液-ガス熱交換器付きサイクルの P-h 線図 主に冷凍機の運転円滑化を目的として、図6のように凝縮器(または受液器)出口の冷媒液と蒸発器出口の冷媒ガスを熱交換器を介して熱交換する場合がある。これにより図7のように、膨張弁に入る冷媒液は3からさらに過冷却されて3'となり、圧縮機に入る冷媒ガスは1からさらに過熱されて1'となる。熱交換器での放熱が無視できれば、h1' - h1 = h3 - h3' となっている。 この場合、冷媒単位体積あたりの冷凍能力(冷凍効果)、所要動力、成績係数等は次式となる。 q c = h 1 − h 3 ′ , w = h 2 − h 1 ′ , ( C O P ) R = h 1 − h 3 ′ h 2 − h 1 ′ {\displaystyle q_{c}=h_{1}-h_{3'},~w=h_{2}-h_{1'},~\mathrm {(COP)_{R}} ={\frac {h_{1}-h_{3'}}{h_{2}-h_{1'}}}} 液-ガス熱交換器を用いることにより、以下のメリットが生じる。 圧縮機に送られる冷媒を過熱度が大きくなることにより、運転条件が変わっても湿り圧縮や液圧縮となるのを防止することができる。 蒸発器に送られる冷媒液の過冷却度が大きくなることにより、途中の液配管内のフラッシュガス発生を防止できる。これにより、前項と合わせて、冷凍機の運転がより円滑になる。 前記過冷却の増加に伴い冷凍効果 qc が増加することにより、成績係数が向上することが期待できる。 一般に、過冷却の増加は成績係数の向上につながる。しかし、この場合は同時に圧縮機に入る冷媒ガスの比体積が増加することにより、圧縮機の所要動力も増加するため、メリットが相殺される場合も多い。また アンモニア、R22 等の冷媒では、圧縮機出口の冷媒温度が高くなり過ぎる場合があるので、注意を要する。
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